“グレーツール”に複数のポリシーで対応できる「AntiMalware v5」

P2Pのファイル共有ソフトなど、必ずしもマルウェアとは限らないが会社に不利益をもたらす可能性が高いものをアークンは“グレーツール”と名づけ、新製品「AntiMalware v5」で対策を打ち出した。

» 2007年02月15日 23時33分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 ウイルスやスパムメールの脅威が増す中、セキュリティ対策なしにPCを扱うのは無謀だといえるだろう。特に、仕事で個人情報や機密情報を扱う場合、ウイルスやマルウェア(悪意のあるソフトウェア)によって情報が流出してしまうと取り返しのつかないことになる。

2006年の主な脅威は

 また、メールで伝播するタイプのウイルスに加えて、P2Pのファイル共有ソフトでのウイルス感染による情報の流出やフィッシング詐欺のように、新しい問題が次々と現れるのも悩ましいところだ。現在主流となっているセキュリティ上の脅威には、一体どんなものがあるのだろうか。アークンが2月15日に開催した記者説明会で、2006年の主な脅威について、同社の渡部章代表取締役が説明した。

アークンの渡部章代表取締役

 渡部氏によると、P2Pのファイル交換ソフトのユーザーは、バージョンアップが停止したWinnyからShareやBitTorrentなどに移行しているという。また、攻撃の標的は、無差別なもの(マス型)から特定の標的を狙うもの(スピア型)に変わってきた。スパムメールの送信には「ボットネット」と呼ばれる、マルウェアによって遠隔操作できるPCがネットワーク化したものが踏み台に使われている。フィッシング詐欺サイトの作成ツールがアンダーグラウンドで販売されており、技術力がなくてもツールを購入さえすれば詐欺を行えるのだ。さらに、「ゼロデイ攻撃」と呼ばれる脆弱性が公開された直後の攻撃や、推測が容易なパスワードへのツールを使った総当たり攻撃、キーロガーによる情報漏えい、ワンクリック詐欺の自動化などが2006年の特徴だ。

“グレーツール”に複数のポリシーで対応できる「AntiMalware v5」

 アークンは、必ずしもマルウェアとは限らないが会社に不利益をもたらす可能性が高いものを「グレーツール」と名づけ、これらに対して複数のポリシーで検出、削除できる「AntiMalware v5」を開発した。国内および海外のスパイウェアやアドウェアなどの合計35万種以上のマルウェアに加え、Winny、Share、WinMX、μTorrent、BitCometなど、合計6000種以上のファイル交換ソフトにも対応している。

マルウェアの分類とグレーツール

 グレーツールとしては、P2Pのファイル交換ソフトやPCのキー入力を記録するキーロガーなどがある。例えば商用キーロガーの1つ、Perfect Keyloggerは、動作テストや従業員の業務監視目的でキー入力を送信するという有益な側面もあるが、これを悪用される可能性もあるため、グレーツールとなる。

 なお、P2Pによる高速なファイル交換が可能(1月12日の記事参照)なSkypeだが、仕事で利用する人も多い一方で「情報漏えいの危険がある」として社内規定で禁止するところも多い。「Skypeをグレーツールに含める準備はしてあるが、現在のところ実際に含めていない。顧客の反応を見て決めたい」(同社)としている。

 AntiMalware v5では複数のポリシーを作成し、ポリシーごとにグレーツールの利用を認めるか否かを指定できる。例えば企業全体に基本ポリシーを適用し、営業グループにはもっとも厳格なポリシー1、技術グループにはある程度自由度のあるポリシー2、それぞれのグループ内の特定のPCには業務で必要なツールをインストールできるポリシー3を適用することが可能だ。ただし、作成できるポリシーの数に制限はないが、1台のPCに複数のポリシーを適用することはできない。

グループごとにポリシーの規定が可能

 さらに、AntiMalware v5のスキャン速度は前バージョンと比べて50%向上した。また、他社のウイルス対策ソフトとの共存も可能だ。シマンテック、トレンドマイクロ、マカフィーの主要なウイルス対策ソフトと同時に使用できる。

 価格は、スパイウェアとグレーツール対策の「AntiMalware-AS」は5クライアントで初年度ライセンス料は2万1263円から、年間サポートは7088円から。これにカスペルスキーのエンジンを利用したウイルス対策ツールを追加した「AntiMalware-AV」では同じく初年度ライセンス料は2万9137円から、年間サポートは9713円から。AntiMalware-ASとAntiMalware-AVは管理サーバとクライアントPCにソフトウェアをインストールするタイプで、管理サーバからクライアントPCにポリシーを適用し、特定のソフトウェアの強制アンインストールなどが可能だ。今後はスタンドアローン版、ASPサービス版、PCへのインストールが不要なUSBメモリ版も販売する予定。

 AntiMalware-AS、AntiMalware-AVのクライアントPCはWindows Vista/XP/2000/Me/98SE/Server 2003/2000 Serverに対応する。

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