若者はチープ、団塊世代は本物志向――どうなる2008年版ダイアリー仕事耕具

国内メーカーでは最も早く2008年版の手帳やダイアリーの展示会「2008ダイアリーフェア」を開催したレイメイ藤井。ベルト付きの「Tail diary」などが目を引いた。今年最初の展示会から来年流行しそうなダイアリーを予測してみよう。

» 2007年06月22日 23時27分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 6月20日〜22日、手帳やダイアリーなどを販売するレイメイ藤井が、国内メーカーでは最も早く2008年版製品の展示会「2008ダイアリーフェア」を開催した。少し気が早いかもしれないが、今年最初の展示会から来年流行しそうなダイアリーを予測してみよう。

サンプルからダントツ人気

 「サンプルの段階では、顧客調査でダントツの人気だった」(レイメイ藤井)というのはTail diaryだ。一見、ベルト付きの標準的なダイアリー。ポリ塩化ビニル製の表紙はフニャフニャした独特な手触りで、Tail diaryのロゴを丸いシールで貼ってあるだけ――である。いかにもチープな感じだ。

Tail diary

 実際、デザイナーもチープな感じを出すのに腐心したらしい。ポリ塩化ビニルの柔らかい感触はもちろん、ロゴのシールも「少しぐらい位置がずれたり、曲がったりしてもいい」という感覚だったという。

 とはいえ、チープさやフニャフニャ感といった“B級感”だけがウケたわけではない。そもそもTail diaryの名は、ベルトがテール(尻尾)のように伸びるところが由来だ。ベルトの先に付属のボールペンを付けて、ダイアリー本体をくるりと巻き込み、ボールペンで挟んでベルトを固定する仕組みである。

 ベルトといえば通常、最初からダイアリーを開かないように巻かれているものだが、ヒモのようにボールペンに付けることで、ダイアリーにボールペンで書き込んでいる間もベルトが付いていることになる。このため、ベルトがダイアリーを開かないようにするだけでなく、ボールペンをなくさないための役割も果たしているのだ。

 大きさは185×143×15(縦×横×厚さ)ミリ。重さは240グラム。2007年10月から2009年1月まで16カ月間分のダイアリーを収録。ボール径8ミリの油性ボールペンも付属する。価格は1890円だ。

ダイアリー本体をくるりと巻き込み、ボールペンで挟んでベルトを固定する
ベルトがダイアリーを開かないようにするだけでなく、ボールペンをなくさないための役割も果たしている

1カ月を一覧できる月間(左)と1週間を一覧できる週間(右)の両方を備える

このほか、会場で気になったのは、手のひらサイズ(103×62×7/11ミリ)の「モバイルダイアリー」
月間(682円)/週間(892円)を用意し、いずれも“2つ折”タイプ

こちらは布張り的な手触りが楽しいクロスペーパーによる表紙の「ツートンダイアリー」。月間のみで840円
以前からラインアップにあった「カラーインデックスダイアリー」(525円)では、外から毎月12色に色分けされたインデックスが見えるようになっている。ちょっとしたことだが、利用者にはうれしい工夫だ

自分だけの“一点もの”を

 実は、Tail diaryを見た筆者は、すぐに「これはいい」と会場スタッフに伝えたのだが、スタッフの方は何か不思議そう。「確かに顧客調査でもダントツの1位だったんですが……。若い人は、こういうテイストがいいんですかね」と、どこか納得がいかない雰囲気。というのも、ここ数年レイメイ藤井の売れ筋は安価な製品から、比較的高価な製品に移っていたからだ。

 1990年代、手帳が売れた時期があった。いわゆる“プリクラ”ブームのころである。このころのメインターゲットは10代の女子。ラメが入ったり、色数が豊富だったり、とにかくカラフルで1000円程度の手帳が売れた時代だ。

 状況が一変するのは2001年から2002年にかけて。このころ、10代女子向け手帳の売り上げが激減する。ちょうど、カメラ付き携帯電話が流行したころと一致するのだ。つまり、それまではプリクラで撮影したシールを貼るために手帳を買っていた世代が、「ごっそりカメラ付き携帯電話に流れてしまった」(レイメイ藤井)というわけである。

 安価な若者向け手帳の売り上げが減少する代わりに、着実に売り上げを増やしてきたのが比較的高めな団塊世代向けの製品だ。4000円前後から1万円を超えるものもある。

 特に最近売り上げを伸ばしているのが本革製品だという。「本革製品は、血管の浮き上がり具合や、油ののり具合、それぞれの製品で同じものは2つとない」という。野球のグローブのように、その後の手入れ次第でも製品の状態は大きく変わる。その分、自分だけの“一点もの”として愛着もわくのだろう。

「ダ・ヴィンチ」ブランドの本革モデル「アースレザー」シリーズ。血管の浮き具合に違いがあるのが分かるだろうか
アースレザーシリーズで、新品(左)と1カ月半ほど使ったもの(右)を比較したところ。使えば使うほど「味わいが出てくるのが革製品の特徴」だという。ちなみに使い込んだほうが油っぽく光っているが、これは使用者の手の油がついたわけではない。なめしたときに塗りこんだ油が、使い込むうちに染み出てくるのだ

 なぜ、団塊世代が“本物”志向なのか。「会社で第一線を張っていたころの団塊世代は、持ち物に強いこだわりはなかった。会社の支給品を使っていた人も多かったのではないか」。そんな団塊世代だが、退職後は「自分の時間をしっかり作る人が多い」という。習い事や旅行など、自分のためのスケジュールを書き込む人が増えているのだ。

 これまでしっかり守ってきた社会人としてのスケジュール。自分自身のスケジュールとなった今、「もっと大事にしたい」という気持ちが働いているのかもしれない。

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