3つのルールと9つの組み合わせを学ぶ──「ながら学」上級編樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

何かをしながら何かする──「ながら学」上級編は、正しい“ながら”を考える。3つのルールと9つのコンポーネントの組み合わせで、どれだけ生産性があがるのだろうか──。

» 2007年07月06日 23時59分 公開
[樋口健夫ITmedia]

 何かをしながら何かする──入門編中級編とお伝えしてきた「ながら学」。今回は上級編である。いま一度、ながらの良し悪しを考えてみたい。まず、間違った「ながら」だが、居眠りし「ながら」や携帯電話や、飲酒し「ながら」の乗り物運転、トイレや歩き「ながら」の喫煙などである。子供を自動車に残しながらパチンコをする行為は、最悪の悲劇を生んでいる。このように間違った「ながら」は、とんでもないことになる。

 正しい「ながら」のルールと種類を身に付けておくことが大切だ。まずは、「ながら」のルールを確認する。

  1. 複数の異なった事柄を同時に行い、相互によい効果を得られること
  2. メインとなる作業の達成を阻害してはならないこと
  3. 他人に迷惑や不快感を与えないこと

 まず(1)と(3)はいうまでもない。(2)については、仕事をしている間は、仕事を犠牲にしてはいけないということだ。バランスの問題でもある。メインの効果が高ければ、組み合わせた作業の効果が多少低くなっても、許されることがある。

 そうした「ながら」の要素となるコンポーネントを一覧表にした。参考にしてほしい。

「ながら」コンポーネント
NO. 種類
1 仕事・思考・学習系 仕事しながら……、考えながら……、勉強しながら……
2 体力系 歩きながら……、フィットネスしながら……、自転車に乗りながら……
3 いやし系 散歩しながら……、酒を飲みながら……、風呂に入りながら……、眠りながら……
4 飲食系 食事をしながら……、飲みながら……
5 時間待ち系 一定の間隔でもらえるもの(お年玉やボーナスなど)をイメージして「早く時間よ過ぎろ」と願いつつ……、退屈な仕事が完了することをイメージしつつ……
6 手持ちぶさた系 トイレしながら……、電車で車内広告を眺めながら……
7 娯楽系 テレビ見ながら……
8 情報系 ネットを見ながら……、ニュースを見ながら……
9 会話系 話ながら、携帯電話しながら

 「ながら」は流行と技術で進化していく。ただし、CPUがデュアルになっても、脳みそは1つだけ。デュアルコアがあってもデュアルブレインはない。思考系と思考系では干渉が生じる可能性がある。そうしたことを念頭に置きながら、コンポーネントを組み合わせていこう。

 実際にどのようなことが“正しいながら”になるのか。二宮尊徳が薪を運びながら本を読んでいたのも、薪運びしながらという「仕事系」、本を読みながらの「思考系」、退屈な仕事を進めつつという「時間待ち系」といった組み合わせかもしれない。

 駅で待たされている間、キオスクで新聞や文庫のタイトルを眺めながら、お茶を飲むのも「時間待ち系ながら」の典型だ。さらに10分もあれば予定を見直し、思いついたアイデアを書くこともできる。携帯で必要な会話をして、後はメールを続けることも可能だ。ポケットから文庫本を出すこともできる。会話の単語帳を出して勉強はどうだろうか。

 筆者は泳ぎながら音楽が聴ける完全防水のラジオやMP3プレーヤーが欲しかった。音楽を聞きながらであれば、泳げる距離は3倍になりそうだ。

 いつだったか、タクシーの運転手で客待ち時間を、司法試験の勉強に充ててきた人に出会った。筆者はたまたま第二次論文試験の結果の日に乗車した。こちらが尋ねもしないのに、「合格しましたよ」と運転手は上機嫌だった。他人事ではあったが、「ながらの完成形だ」と感慨深かった──。

今回の教訓

ながらコンポーネントの組み合わせで、パラレル仕事術の達人に――。


「ながら」の応募がありました

 前回、読者のみなさんから募集しました「ながら」ですが、続々応募がありました。びっくりしたのは、風呂場でのPC作業です。写真入りで臨場感もあります。トイレで勉強という「ながら」もありました。トイレの扉の裏に貼る暗記物。筆者もやっていました。「覚えるまでは、出さない、でない、出てこない」。そんな覚悟で、考えに考えていたものです。

 ご応募いただいた方々には、抽選で8月末に発売予定の2008年版「ポケット・アイデアマラソン手帳」(技術評論社)をお送りいたします。2007年版同様、1000件の発想を書き入れることが可能です。

何をしながら、何をする?――面白い“ながら”を教えてください

 連載・樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」では、皆さまからの面白い“ながら”アイデアを募集します。ご応募いただいたアイデアで、優れているものは記事中でご紹介するほか、2008年版「ポケット・アイデアマラソン手帳」(技術評論社、8月末発売予定)をプレゼントさせていただきます。奮ってご応募ください。

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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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