ランチや飲み会に頼らず、新しいチームメンバーと意気投合するには、“他己紹介”のスキーマを活用して第三者から見たパーソナリティをうまく伝えます。そして過去ではなく、相手の“今後”を尋ねてみましょう。
新しいメンバーと早く意気投合するには?
コツ:今後どのように行動しようと思っているかを問う
【問題編】では、既存のチームに新しいメンバーが参加する際に、いかに早く意気投合するかという課題が持ち上がりました。スピードが求められる今日では、メンバーの入れ替わりは激しくなり、オリエンや導入研修もそこそこに、すぐにチームワークを発揮することが求められます。
メンバー同士でお互いのことをよく知るために、たとえば、ランチを共にしたり、飲みに行ったりと職場を離れたコミュニケーションの場を作ることが有効でしょう。とはいえ、こういった時間を思うように取れないのが現実かもしれません。
そこで、ランチや飲み会のような手段に頼らない方法を考えてみます。
問題編にも登場した「他己紹介」という方法は、いってみれば「第三者から見たパーソナリティ」を伝える手段です。これは「他己紹介」のスキーマといえます(スキーマについては、7月5日の記事参照)。
チームメンバー同士でお互いの「第三者から見たパーソナリティ」をいち早く知ることは、チームで一緒に仕事をしていく上で役に立ちます。「第三者から見たパーソナリティ」とは、例えば次のようなものです。
ある人について、事前にこれらのことが把握できていれば、スムーズなコミュニケーションが図れることに加えて、その人の関心や得意分野に即した質問ができるでしょう。他己紹介の際に、紹介する人がこれらのポイントを踏まえることで、チームとしての素早い意気投合が実現できるわけです。
もし既存メンバーの中に新メンバーのことを他己紹介ができるような紹介者がいない場合でも、このスキーマを活用すれば、他己紹介に近い効果が得られます。
例えば、既存メンバーが新メンバーに対して、どのような質問をすれば、より早く新メンバーのことが理解できるか、さらには、チームワークが発揮できるかを考える際に、このスキーマが役に立ちます。
これらは、既存メンバーが知りたい新メンバーのパーソナリティであり、それを知るための質問といえます。このような質問をすることで、次のようなことが分かるはずです。
これらの質問は、別の視点から見れば「相手の今後の行動」に注目している質問といえます。相手のことを知ろうとするとき、過去にどんな経験をしてきたのか、あるいは得意分野は何か、といった過去や現在についての質問をすることが多いかもしれません。でも、「相手の今後の行動」という未来を問うことによって、自然と過去や現在についても言及されることになりますから、あえて過去や現在を問う必要はなくなります。
むしろ、過去の経験に関する質問は詮索されているように感じられてしまうことがありますから、要らぬ誤解を与えないためにも、聞かないでおく方がよい場合もあるでしょう。
また、未来を問う際には、特定の状況を仮定したうえで問うという方法もあります。
これらの質問は、正解を引き出すことよりも、避難訓練のように特定の状況に即した行動のシミュレーションを行うきっかけになるため、今回のように新メンバーを迎える時以外でも役に立つはずです。
さらに、ちょっとしたコツとしては、質問の頭に「今後」をつけるだけで、その質問が未来志向になります。
この場合、その場の1回限りではなく、継続的に「1時間で終えられる」状態を実現するための方法を考えることになります。
新しいメンバーと一緒に仕事をするのも、思いついたアイデアが活用されるのも、常に未来です。それゆえ、過去ではなく未来の行動を問うようにすれば、自然とお互いの理解が進むようになるはずです。
1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。
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