第3回 ロジックツリーは「現実」を反映しない新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(1/5 ページ)

ロジックツリーは、文字通り「ロジック」を枝分かれする「ツリー」状に組み立てる論理構成法で、いわゆる「ロジカルシンキング」の基本中の基本です。徹底的に使うと絶大な威力を発揮しますが、専門知識を教えるためには「ロジックツリー」だけでは間に合わないのです――。

» 2008年03月07日 17時00分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

 第1回から「ティーチング」の重要性を訴えてきたこの連載も第3回となりました。

 今回は早速ロジックツリーに関するお話を……と言いたいところですが、その前にちょっとだけ寄り道して、「ティーチング」にまつわる誤解を解いておきたいと思います。

ティーチングは「指示・命令」ではありません

 実は、今年になってから私が「ティーチングティーチングティーチング!!」と熱く語っていたところ、最近になってある衝撃的な情報がもたらされたのです。それは、

  • 企業内教育業界では「ティーチング」という言葉を「指示・命令」の意味で使っている

 という事実です。

 それを教えてくれた人に「ええーっ?」と思いっきり聞き返してしまったのですが、どうもこれが本当らしいんですね。そこでこれは早めに訂正しておくべきだと思いました。断言しますが、その使い方は間違いです。

  • ティーチングは「指示・命令」ではありません

 これを10回ぐらい繰り返して書きたいぐらいです。私のメルマガ「読み書き図解力を鍛え直すマガジン」3月4日号にも書いたことなのでこれ以上は触れませんが、もし誤解していたらこの機会に「ティーチングは、指示・命令ではなく、知らないことを教えること」と10回ぐらい繰り返して記憶してください。

ロジックツリーはロジカルシンキングの最強兵器ですが……

 さて、ティーチングに関する誤解を解いたところで「ロジックツリー」です。ロジックツリーというのは、文字通り「ロジック」を、枝分かれする「ツリー」状に組み立てる論理構成法で、いわゆる「ロジカルシンキング」の基本中の基本のような手法です。一例として、先月起きた「イージス艦と漁船の衝突事故」についての原因究明のロジックツリーを図1に挙げておきます。

 要するに、大きな「疑問」を立てて、それに対して考えられる答えを大項目、中項目、小項目と分解していくのが「原因究明のロジックツリー」です。原因究明以外にも使われますが、「だんだん細かく分解していく」という理屈は同じ。ただそれだけの極めて単純な仕組みなのですが、これを徹底的に執念深く使うと「ロジカルシンキングの最強兵器」とでもいうべき絶大な威力を発揮することが知られています。

 しかし、「絶大な威力」といっても別に万能なわけではありません。特に、「専門知識を教える」時には、ロジックツリー「だけ」では役に立たないことも多いのです。それはいったいどんな場合でしょうか?

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