Web解析「RTmetrics」にマーケッター視点のSaaS版

パケットキャプチャ方式で多くの大規模サイトへの導入実績を持つRTmetricsに、タグ方式のSaaS版が登場。「マーケッター視点」で、競争が激しい中小規模サイト向けに参入する。

» 2008年05月13日 00時26分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
オーリック・システムズの幾留浩一郎社長

 オーリック・システムズは5月12日、Webアクセス解析ソフトウェア「RTmetrics」のSaaS版を開発。販売を開始した。

 同社の主力商品である「RTmetrics」は、数千万PVから億を超える大規模Webサイト向けのライセンス製品。今回のSaaS版は、その中小規模サイト向けとなる。「数10〜数100万PVの小規模、中規模サイトでも容易に導入できる。ライバルはGoogle AnalyticsやOmnitureのSiteCatalystだ」(同社の幾留浩一郎社長)

タグ形式で、「日本人マーケッターの視点で」開発

 RTmetricsは、携帯電話からのアクセスも解析できるパケットキャプチャ方式が特徴のWeb解析ツール。しかしハードウェアをWebサーバにつなげて設置する必要があるため、初期投資額が大きく、自然と大規模サイト向けになっていた。

 今回はJavaScriptのタグを使い、容易に導入できることにフォーカスした。携帯電話のブラウザはJavaScriptが動作しないため、そのままではアクセス解析が難しいが、「携帯用のタグ開発も行っている。JavaScriptを使わず、携帯のデバイスIDを1つのタグで吸収して動作する。将来的にサービスにしていきたい」(幾留社長)と話す。

大規模サイトや携帯対応が必要とされるサイトをパケットキャプチャ方式の「RTmetrics」で、中小規模のサイトのアクセス解析を「RTmetrics SaaS Edition」でカバーする

 SaaS版では「日本人マーケッターの視点で」(同社 内野明彦氏)開発を進めた。

 例えば、利用者が知りたいのはPVやUUといった単なる指標ではなく、その先のユーザーの動きだ。「どんなユーザーがどうやってサイトに来て、どう行動したのか、目的を達したのか。それが分かるツールではなくてはいけない」と内野氏。

 そのために、各指標ごとの時系列の変化だけではなく、各指標がどう連携しているかを簡単に見られるよう、分析を工夫している。ECサイトを例に取れば、まず表示するのは入り口となるページのPVトップ10を表示。しかしこれだけではなく、そのトップ10の各ぺージの直帰率(サイトから離脱した率)、そして各ページの滞在時間、さらにそのページからの来訪者が実際に製品を購入した率をチェックしていける。

 「RTmetricsのSaaS版では、ユーザー行動の一連の流れを見る。よく使われるWeb KPI的な指標はあらかじめ準備してある」(内野氏)

指標を時系列に見ていくだけでなく、各指標に当てはめてユーザーがどう動いていったか、行動を把握できる
サイトの現状をざっくりと把握できる左側のメニューだけでなく、詳細にサイトの状況を知ることができるメニューを右側に用意

埋め込むタグは事前のグループ化が不必要

 タグ方式の分析ツールは数多いが、導入や運用にも後発ならではの工夫を凝らした。例えば、各Webサイトに張り込むタグは、原則全ページで共通。事前にサイト内のどんなページに当たるかを決めてタグを定義しなくても、あとから自由にページをグループ化できる。

 「個別に分析していたコンテンツを、途中からグルーピングしてみたくなる。指標を自由に定義して、後から何度でも作り直せる」(内野氏)

 例えば、ECサイトのサンキューページ(購入後に表示されるありがとうというページ)を通過したユーザーを「コンバージョンユーザー」として定義しておくと、その後の分析で、「コンバージョンユーザー」がサイト内でどんな行動を取ったかが簡単にチェックできる。「例えば、コンバージョンに至った検索ワードの一覧――なんてことが可能だ」

月間300万PVまでで、月額15万円

 今回のSaaS版では、月間PVに応じた従量課金を取った。さらに3つのプランを用意。クロス集計などのアドバンス機能を持たないエントリープランから、上記のユーザー定義が3つまで追加できるスタンダードプラン、5つまで定義できるパワーアッププランを設けた。

 それぞれの月額料金は以下の通りだ。

プラン 〜300万PV 〜500万PV 〜700万PV
エントリープラン 10万5000円 21万円 31万5000円
スタンダードプラン 15万7500円 31万5000円 42万円
パワーアッププラン 21万円 42万円 52万5000円

 「中小規模のWeb解析分野では多くのベンダーがあり、競争の激しい領域。そういう意味では、後から追いかける形になるので、同じような製品では受け入れられない。マーケッターがこういうものが欲しいと言っているものを製品としてリリースした」と幾留社長。初年度150社への販売を予定している。

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