第4回 部下こそ上司に「リーダーシップ」をとれ目的を達成する説得法(1/2 ページ)

3回にわたり、相手を説得する具体的手法を見てきました。とはいえ上司の協力を得たいために、部下が自分を抑えても意味がありません。自分らしく振る舞いつつ、相手に気持ちよく協力してもらうには?

» 2008年07月04日 20時40分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 これまで見てきた説得法を踏まえて、自分の思いや提案を上司などに伝える方法をまとめてみます。

思いを上司(会社)に伝える6ステップ

ステップ1:自分のやりたいことと、その理由を明確にする

 自分がこの会社でやりたいことと、その理由をはっきりさせます。やりたいことは大きなことでなくても構いません。こういうプロジェクトをやりたい、などでいいのです。そして、必ず理由を付けてください。なんとなくやりたいではダメです。

ステップ2:上司(会社)がやりたいことと、その理由を見つける

 続いて直属の上司や会社がやりたいことと、その理由を必ず考えておいてください。自分の考えばかり主張して、会社や上司の考えを無視する人が多いです。しかし、自分の思いを通すためには、自分のためのコミュニケーションだけでなく、相手のためのコミュニケーションが必要です。世の中のほとんどのことは、1人ではできないものなのです。

 また、ステップ2で大事なのは、上司や会社がやりたいことを示す際に、肯定的な意図、つまり相手の善意を探すことです。悲しいことに、世の中には、お金さえ儲かればいいというような、善意がない会社もはっきり言ってあります。

 しかし、そんな会社の上司でも、部下から「あんたたちは金儲けしか考えてないけどさ、自分としてはこんな思いを持っていて、これがやりたいんだよ」と言われたとしたらどうでしょう。やらせてみようという気になるでしょうか。

 極端にいえば、こんな感じです。

 「お母さんはいつもケチでさ、自分勝手でさ、自分の服しか買わないしさ……自分のことしか考えてないよね。ところで、友達と遊びに行きたいんだけど、お金出して」なんていう主張が通るでしょうか。自分のことに文句を言う人の意見を聞こうとは、普通思いません。

 だから、会社や上司の善意を見つけ出してほしいのです。なかったらウソでもかまいません(笑)。たとえ、お金のことしか考えていないセールス団体だとしても、です。「利益を上げて、いつか私たちに還元しようと思ってくれているからやっているんですよね」「上場することで、私たちに株を持たせてくれようとしているのですよね」

 こんなふうに、そう言われたら悪い気はしない、といったものを探してみてください。

ステップ3:上司(会社)が自分に期待することと、その理由を見つける

 例えば、会社は、介護を使って金儲けできればいいという態度だとします。

 その会社で、「僕は身寄りのないお年寄りのために働きたい。なぜなら……」と、自分の思いとその理由を言います。そこで会社の良い点を探します。「売り上げを上げて、この会社をもり立てることが、結果的にはたくさんのお年寄りを助けることになると僕は信じています」と、本当は違っていても、言ってあげてほしいですね。「だから、会社は僕にこれだけの売り上げを上げて、これだけのエリアにシェアを広げることを期待しているのだと思います」という感じです。

ステップ4:両者を満たす共有ゾーンと、その理由を見つける

 ここが一番大事な部分です。上司や会社と、自分の共有ゾーンを見つけます。例えば、IT企業で働いているけれど、ITとは全く関係ないスマイルプロジェクトを立ち上げたいとしましょう。

  1. 「僕は、会社に笑顔が溢れてほしい。なぜなら、笑顔だと、みんなが気持ちよく、元気よく働けるから(ステップ1)。
  2. 会社は上場を目指していて、これだけ売り上げを上げようとしている(ステップ2)。
  3. 会社は僕に、これだけの売り上げを期待している(ステップ3)」

 そして、ここで会社と自分の共有ゾーンを見つけます。

 笑顔が増えることで、売り上げが上がるとしたらどういうことだろう、と考えてみます。例えば、笑顔になったら能率が上がる、笑顔で言われたら気持ちよく残業できる、笑顔だとアイデアが浮かびやすい、アイデアが浮かんだら、こんなふうに売り上げにつながる、気持ちよく協力できるから、社内の情報共有が進む。

 こんな具合に、共有ゾーンはできるだけたくさん考えておいてください。何のためにスマイルプロジェクトをやりたいのかと聞かれて、答えられないことのないように。自分なりの理由で構わないので、ありとあらゆることを考えてみてください。

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