「どうしても自信が持てない」「課題だらけですぐパニック」――情けない自分にさよならするには?なぜ陥る? 「うつ」のメカニズム(2/3 ページ)

» 2008年09月04日 11時20分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

経験ゼロ、やる気はあるのにスキル不足でどうしていいか分からない

 最後の5つ目は、「スキルがないために精神症状が起こる」パターンです。

 例えば、入社以来ずっと技術畑でやっていた人が、いきなり営業に異動させられたとします。今、確かに人手が足りないから、営業だってやろうという決意はあるし、やればできるという気持ちもある。でもどうしていいのか分からない。

 もしくは、同じ技術でも、今まで全然やったことのない部門に回されて、いきなり管理職になった。どうやって人を使えばいいのか、部下に聞かれたところでどう答えたらいいのか――というように、全く経験やスキルがない分野だと、落ち込んでうつや不安になります。

自分に自信がない「彼女募集男」が、本当に自信が持てなかったこととは?

 30代前半のある男性の例です。

 仕事に対するモチベーションが上がらないし、プライベートも充実しておらず、憂うつな状態が続いていました。どんな風になればいいかという話をしているうちに、彼女ができればいい、ということが分かりました。

 ところが、女性の少ない職場で、たまに出会いがあっても、「自分のことを馬鹿にしているんじゃないか」とか「俺なんか相手にされないんじゃないか」と思い込んでしまうというのです。さらに話を聞いてみると、自分にそんなに自信がないわけではない。でも話しかけても話が盛り上がらないため「やっぱり自分はダメなんだ」と思い込んでいるだけなのだと分かりました。

 逆に言えば、面白い話ができて、話が続いたらいいのですね。そうなったら、そんなに自分を卑下しないでいられるし、プライベートも充実する。プライベートが充実したら、仕事も楽しくなるかもしれない。女の子と話が続くスキルを持てたとしたらどうですか、と聞くと、「ああ、それだったらいいですね!」と、彼は答えたんです。そこで私は、彼にそういうスキルを練習してもらうことにしました。

会話を弾ませるには話題作り! スキルを補う努力をすれば気持ちがラクに

 まず、女性が興味を持ちそうなことを調べてみるということで、週に1回、女性雑誌を見ながら、今、どんなことが流行っているのか、完全には把握しなくても、「こういうのが流行してるよね」と、話題作りに使える知識を得るようにしました。

 また、毎回1つ、お笑いネタを考えるようにしました。というのは、彼に職場の話を聞くと、結構面白い話を話してくれるんです。彼に面白いという発想がなかったから言わなかったけれど、話はたくさん出てくる。それを連発して、1つでもヒットすればいいんじゃない? ということにしました。

 要するに、それが面白いかどうかは関係ないのです。それで気持ちがラクになることが大事なのです。3カ月後に会った彼は、「彼女はできていないけど、人に対して気楽に話ができるようになった」と言いました。これがつまり、スキル不足だったというケースです。

 過去に女性で失敗したトラウマがあれば3番目の「癖」のパターンですし、「僕はできない、できない」といって気を引くなら2番目の「無意識的な目的」のパターンです。先のことまで考えすぎたり、どうせうまくいくはずがないと考えると、最初の「考えすぎ」のパターンですし、そもそも本当に彼女が欲しいのか仕事に没頭したいのか分からなければ4番目の「混乱」しているパターンです。

 しかし、この彼の場合は1から4のどれでもなさそうでした。本当に女性と話すスキルがなかった。

急な管理職抜擢で不安なら、セミナー参加でマネジメントスキルの習得を

 社会に出てある程度たった段階で、何の予兆もなく急に管理職にさせられた人だとしたらどうでしょうか。

 もう若くはないから覚悟はしていた。過去に仕事が変わって失敗したというトラウマがあるわけでもないし、新しい仕事に対しては、1年間はあまり考えずに没頭しようという心構えもあって、そんなに心配しているわけでもない。自分なりに管理職でやっていこうという決意もあるから混乱しているわけでもない。

 ただ、部下とどう接していいのか分からない。だから不安になったり、うつ症状を起こしたりする。そんな場合は、部下指導のセミナーにでも参加して、マネジメントの基本を学ぶことでよくなることがあります。これもスキルの問題なんですね。

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