なぜ重要なことが部下に伝わらないのか部下をやる気にさせて育てる指導術(2/3 ページ)

» 2008年10月06日 13時30分 公開
[水野浩志,ITmedia]

重要なことを伝える、重要なポイントとは

 私は講師として、企業研修やセミナーという場を通じて、いろいろな想いや考えを伝えています。講師の仕事を始めた時、私は、私自身が発する重要なメッセージを参加者に伝えるために必要なものは、理解するための「解りやすさ」ではないかと考えました。そこで、最も伝えたい重要なメッセージは、難しい表現を使わず、なるべく相手の立場に合わせた形で表現するように工夫して、出来るだけ受け止めやすく、解りやすくすることに努めたのです。

 その結果、参加者の方たちに伝わるようになったかというと、実はこちらが期待していたほどしっかり伝わらなかったのです。

 確かに、難しい表現のまま伝えるよりは理解してもらえたようでした。しかし、セミナー後のアンケート結果や、その後の追跡調査を行ってみると、解りやすく伝えた大切なメッセージはほとんど彼らの記憶に残っていないようでした。一番がっかりしたのは、後日お会いした時に「こんな話をしましたよね」と聞いても「え? そうでしたっけ?」という答えが返ってくる時。そんなことが、一度や二度ではなかったんです。

 そこで、私は解りやすさにばかりこだわることをやめ、今度は徹底的にそのメッセージを発信する頻度にこだわってみました。とにかくもう、しつこいくらいに同じメッセージを発信する事にこだわってみたのです。重要なメッセージを1回のセミナーで100回は繰り返し伝えることを目標に、徹底的に重要なメッセージを伝え続けました。

 すると受講者達からの反応が、今までとは打って変わったようになりました。多くの人が、その重要なメッセージを受け止めたようで、アンケートにもそのメッセージが書かれていたり、後日あった時も、「先生から言われたあのメッセージは今でも憶えていますよ」と言われるようになったのです。

 つまり、「重要なことを伝える重要なポイント」とは、

  • あなたはそのメッセージを何回も部下に伝えているか

 ということなんです。毎月1回の会議で伝えただけで、伝えた気になっていてはいけません。そんな頻度では、言わなかったことに等しいのです。

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