家電量販からリユース業へ、ワットマン社長の決断がもたらしたもの社長の決断、社員の変化(2/3 ページ)

» 2008年10月10日 12時00分 公開
[一柳麻衣子,ITmedia]

安くても売るか、安いなら売らないか

 順調に見えるワットマンにも悩みはある。新しい市場は成長可能性が大きいが、その反面問題も次から次へと出てくる。目の前の課題をクリアしても、すぐに新しい課題が突きつけられるのだ。

 実はワットマンもリユース業に転換した1期目は赤字だった。しかし、2期目に黒字転換し、3期目にはさらに伸びた。そこには試行錯誤みがあった。

 例えば、以前はノーブランドのスカートを買い取り、300円で売っていた。商品が良ければノーブランドでも客が買ってくれる。しかし、そうなると店に残るのは客にとっては300円以下の価値のスカートばかりになる。これを避けるために、スタート売価を650円に上げたのだ。買い手である客が650円の価値と判断すれば、売れるが、そうでなければ売れ残る。次に3週間売れ残った商品を一気に100円まで下げて売る。さらに3週間残っていたら廃棄処分する。

 このようにスタート売価を上げることで、3週間後に売れ残った商品を100円にしても商品の平均販売単価が上がったのだ。これが2期と3期で在庫金額が同じなのに売り上げが伸びた理由の1つ。

 ブランド品などを扱う場合は目利きが必要。これには中長期的な視点で社員を育成して目利きに育てなければいけない。しかし、店舗スタッフの多くはパートやアルバイトで、採用してすぐに即戦力として活躍してもらう必要がある。そのためにもまずは土台作りとしてスタート売価を決め、売れ残った商品の値下げ、廃棄までを分かりやすくし、売り上げを伸ばす仕組みが必要だったのだ。

 もう1点は生産件数を増やしたこと。リサイクル業者が生産する、というのも何となく変な感じだが、要は買い取りした中古品を修理、点検、クリーニングし、金額をつけて商品化すること。生産件数が少なければ当然ながら商品が店舗にならばず売り上げは頭打ちになる。逆に、生産件数が伸びれば売り上げも伸びるという仕組みだ。

 ワットマンでは買い取りを担当した人が生産工程を最後まで担当する。要は仕入れから販売までを1人が担当する仕組みになっている。「売り上げを上げろと言えば、簡単です。店にある商品を売るだけですから。しかし、代わりに在庫が減り、生産件数も伸びません。これでは、いくら売り上げが伸びても3カ月も経てば、お店がガタガタの状態になります。だから売り上げのことは言いません」

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