プロジェクタにスピーカー、照明、電動スクリーン――。会議室にはたくさんのAV機器がある。これらを1つのデバイスでコントロールするためのソフトウェアが、内田洋行が開発した「codemari(コデマリ)」だ。
ユーザーは、PCやPDAのWebブラウザに表示した「照明オン/オフ」などのボタンをクリックする。すると、その操作がcodemariをインストールしたサーバに無線LANで送られる。サーバはシステムコントローラーと呼ばれる機器を介して各種AV機器を制御し、部屋の照明が付いたり消えたりするという仕組みだ。
操作端末として利用できるのは、アドビ システムズが提供する「Flash Lite」に対応するデバイス。ソフトウェアの単体販売ではなくシステム導入で、ブラウザの操作画面のインタフェースは、導入先の環境に合わせた専用のものとなる。
「PCを使ってプレゼン中のことを考えてほしい。音量が大きいと言ってはスピーカーのリモコンを探し、部屋が明るすぎると言っては照明を落としていては、プレゼンのスムーズな流れを妨げてしまう」(内田洋行)
プロジェクタに無線LAN機能を追加するアダプター「wivia(ワイビア)」も、スムーズに会議やプレゼンを進めるための製品だ。wiviaは、RGBケーブルでプロジェクタやモニタと接続しておき、PCとのデータのやりとりは無線LANを通じて行う。会議室などに常設しておけば、会議参加者はノートPCを会議室に持ち込むだけで、わずらわしいケーブル接続作業などを省いてプレゼンができるのだ。
PCにアプリケーションをインストールして使用するだけでなく、アプリケーションを格納したUSBトークンを接続しても使用できる。ノートPCさえ持ち込めば、「誰でも、いつでも」能動的に会議に参加できるというわけだ。
このほか、画面を最大4分割して、複数台のPC画面の同時投影にも対応。データ量の大きい動画のストリーミング再生時にも、コマ落ちが発生せずなめらかに再生できるという。
「ユビキタス・プレイスが目指しているのは、テクノロジーの存在を意識させない場。便利でさえあればよく、テクノロジーは極力目立たなくていい」(内田洋行)
ただし、こうしたユビキタス環境を構築する製品は、ある程度全社的な導入をすることが前提。ある会議室ではPCを持ち込むだけでプレゼンできるのに、別の会議室では毎回面倒なケーブル接続を行う必要があるというのでは、オフィス内で混乱してしまうことも考えられるからだ。
「あちらの会議室はケーブル接続の必要があるけれど、こちらの会議室は接続が必要ないから楽でいいなあ」などと社員が考えてしまうとしたら、それはいかに便利でも「テクノロジーを意識させてしまうオフィス」ということになる。
「どの部屋にどんな機器が設置されている」という情報を知らない人であっても、その情報を知っている人と同様にテクノロジーの恩恵に受けられるのが、真のユビキタス・プレイスと言えるのではないだろうか。そういった意味では、「テクノロジーを意識させない」ユビキタスなオフィスというのは、相当「意識的に」構築する必要があるようにも感じた。
「テクノロジーそのものでなく、“テクノロジーを利用する人”を中心に考えたデザインであるからこそ、革新的なオフィスを構築できる」(内田洋行)
「“ユビキタス”って言葉はよく聞くけれど、実際に自分たちの仕事にどう役立つのだろう?」「新しい技術がいくら便利だとしても、難しくて自分には使いこなせないのでは?」――そんな風に考えている人は、「UCHIDA FAIR 2009」の会場で、そうした疑問の答えが見えてくるかもしれない。
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