活用を考えるなら、保存したファイル形式も気にしたい。WordやExcel、PowerPointなどのOfficeファイルの形式で完成したファイルを保存すると、後から改ざんしやすい。「例えば、完成したらPDFにする、というルールを作る」(津山さん)。
PDFも改ざんできないわけではないが、一般的に導入されているOfficeソフトに比べたらPDFの編集ソフトの導入率は低いし、「Adobe Acrobat 9」などのPDF作成ソフトを利用した場合、閲覧や編集などの制限も付けられるからだ。また若干コストはかかるが、マイクロソフトの「Office SharePoint Server 2007」を導入すれば、作成中のOfficeファイルを検索でヒットさせないようにもできるという。
なお、PDF化するメリットはほかにもある。例えばバージョンの異なるOfficeファイル。Office 2007で作成したファイルは、Word 2007では「.docx」というようにそれまでのWordとは異なるファイル形式で保存する。.docx形式のファイルをWord 2003以前のバージョンで読み込むには、マイクロソフトのWebサイトで閲覧/編集用の対応プログラムを別途ダウンロードし、インストールする必要があるのだ。もちろん、インストールすれば問題なく見られるが、必ずしもすべての人がインストールしているわけではない。大事な顧客なのに「このファイル、見られませんでした」ではビジネスにならないのだ。
だがPDF化すれば、こうした問題も大半は解決する。Adobe ReaderのようなPDF閲覧ソフトは多くのPCでプリインストールされており、CADソフトのようなアプリケーションで作成したファイルもPDF化すれば、ソフトなしに閲覧できるというわけだ。
せっかくドキュメントスキャナで電子化するなら、名刺の電子化も実施したい。ただ、名刺こそ何百枚、人によっては何千枚とあったりする。これを1度に電子化するのは無理がありそうだ。性格に応じて、できそうな方法を考えてみよう。
というわけで、ビジネス文書の電子化から活用できる文書管理を考えてみた。デジタル・アナログに限らず、実は文書管理がすでにできているのがいわゆる製造工場だという。「工場の現場では3S(整理整頓清掃)が徹底されている。この3Sができれば文書管理もできるはず」(PFUの楠さん)。
ただ大量生産を行う工場と異なり、ビジネスパーソンの直面する現場では毎日異なる提案書や企画書を整理する必要があるわけだ。「工場は150年の歴史がある。近代的なオフィスはせいぜい50年」。特にWindowsなどのPCが一般的になったのはここ10年程度。そういうわけで、オフィスの文書管理はこれから。現場のビジネスパーソンが模索することで、新しい文書管理の方法が見えてくるのかもしれない。
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