医学部の入試会場から試験官が出ていくと、みな一斉にカンニング・ペーパーを取り出した。そのとき、背が高くひょろっとした学生が立ち上がり、こう言った。
勇気は人間の第一の資質である。なぜなら、他のすべての資質を保証するものだからである。
――ウィンストン・チャーチル
医学部への入学は競争が熾烈で、合格するためにはかなりの得点を取らなければならず、受験生には大変なプレッシャーです。私の夫は一生懸命勉強し、初めての試験を受けに行きました。予想どおり、この医学部では無監督制度が採用されていて、教授は問題用紙を配り終えると、教室から出て行きました。すると学生たちはすぐに、小さなカンニング・ペーパーを取り出し始めました。
夫は胸がドキドキし始めたのを覚えているそうです。不正する人たちにはとても敵わないと思ったからです。その時、教室の後ろのほうに座っていた、背が高くひょろっとした学生が立ち上がり、こう言ったそうです。
「私は田舎から出て来ました。妻と三人の幼い子供を抱えながら、医学部に入るために死に物狂いで勉強してきたのです。君たちがカンニングするなら、最初の人を私は学校側に通知しますよ。本気ですからね」
皆、彼の言葉を信じ、多くの学生がきまり悪そうな表情を浮かべました。そして、カンニング・ペーパーは、現われたときと同じ速さで姿を消したそうです。彼が基準を打ち立てたお陰で、その学年はその後、学校史上最多の卒業生を輩出することとなりました。
(『スピード・オブ・トラスト』95〜96ページより抜粋)
開催概要 | |
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日程 | 1.11月5日(木)〜11月6日(金) 2.2010年2月18日(木)〜2月19日(金) |
時間 | 9時〜17時(2日間とも) |
料金 | 10万1850円 |
会場 | フランクリン・コヴィー・ジャパン セミナールーム(東京都千代田区麹町) |
「どんな状況であれ、信頼ほど即効性が期待できるものはないと断言できる。そして、世間の思い込みに反し、信頼は自分でなんとかできるものなのだ」――。
『7つの習慣』で著名なコヴィー博士の息子、スティーブン・M・R・コヴィーが、ビジネスにおける“信頼の力”を体系化したのが本書『スピード・オブ・トラスト』。
企業の不祥事や社内の権力争い、人間関係の崩壊などが問題視される昨今、新しいリーダーに求められる能力とは何なのか。私たちが行うあらゆる活動の質に働きかける信頼の力を、本書中の“名言”を抜粋しながら解説します。
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