「ウメサオタダオ展」でアイドルたちが感じたものとは?「未来の作り方」がそこにある(2/3 ページ)

» 2012年01月19日 13時30分 公開
[取材・文:まつもとあつし 写真:原田経史(C-Lip) ,Business Media 誠]

 さらにFeamのメンバーたちが「なるほど」と驚いていたのが、梅棹氏が執筆の際活用していた「こざね法」と呼ばれる、小さな紙片をホチキスで組み合わせる思考術だ。こざねとは、武者鎧の魚のうろこのようになっている部分のこと。単純でどこにでもある材料で始められるが、アイデアや思考の幅が拡がっていくことを体感できる。

展示されたこざねと、梅棹氏が実際に使用していた裁断機

 Chiakiさんは「いままで歌詞を考えるときルーズリーフに書き留めていたけれど、これならもっといろんな組み合わせが生まれそう」と目を輝かせていた。

「知的プレイボーイ」の90年の歩みを辿る

 会場をぐるりと囲むのは、梅棹氏の生涯の足跡を辿る展示だ。幼少期から山に親しみ、中学生のときに初めての本を出版。研究者となって以降も世界中を旅しながら、文化や歴史への造詣を深めていく様を見ていくことができる。

犬ぞりについての梅棹氏のメモ。録音機が高価だった時代には鳥の鳴き声を楽譜に記録するといった工夫も

 「先日ドラマとなり話題を集めた南極探検ですが、あのタロ・ジロをはじめ最初の越冬隊の犬ぞり犬たちの訓練をしたのも梅棹さんなんですよ」(鈴木さん)

 梅棹氏は「知のプレイボーイ」と呼ばれることもある。女性に対してという意味ではもちろんなく、民族学、生態学を起点として「妻無用論」と銘打った日本の家庭観に一石を投じる論文を発表したり、大阪万博プロジェクトの中で当時は実現が難しかった「公園内の研究施設」の設立(大学院も併設する国立民族学博物館)を成功させたりと、その知的関心・活動の幅の広さと多様さをたとえたものだ。

酒豪としても知られる梅棹氏が海外の調査先で地元の酒を楽しむ写真の前では「いい笑顔」と笑みもこぼれていた。

 アイドルとして5年目を迎えた若いFeamのメンバーたちも、1人の人物の足跡を実際に氏が集めた資料や、執筆した文章と合わせて見ることで感じ入ることが多かったようだ。

実際にカード作りや「こざね」を体験

 会場では知的生産の技術でも紹介している京大式カードや、こざねを実際に使って、展示を見て感じたこと、考えた事をデジタルデータとして記録できるシステムも置いている。

 Feamのメンバーも、早速チャレンジ。

会場内には京大式カードの記入とそれをスキャンしてデジタル展示するコーナーも。

 梅棹氏が初代館長を務めた民族学博物館と同様、館内の展示の多くは手に触れることができ、また撮影も自由にできる。記入したカードやこざねは持ち帰ることも可能だ。

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