さらにFeamのメンバーたちが「なるほど」と驚いていたのが、梅棹氏が執筆の際活用していた「こざね法」と呼ばれる、小さな紙片をホチキスで組み合わせる思考術だ。こざねとは、武者鎧の魚のうろこのようになっている部分のこと。単純でどこにでもある材料で始められるが、アイデアや思考の幅が拡がっていくことを体感できる。
Chiakiさんは「いままで歌詞を考えるときルーズリーフに書き留めていたけれど、これならもっといろんな組み合わせが生まれそう」と目を輝かせていた。
会場をぐるりと囲むのは、梅棹氏の生涯の足跡を辿る展示だ。幼少期から山に親しみ、中学生のときに初めての本を出版。研究者となって以降も世界中を旅しながら、文化や歴史への造詣を深めていく様を見ていくことができる。
「先日ドラマとなり話題を集めた南極探検ですが、あのタロ・ジロをはじめ最初の越冬隊の犬ぞり犬たちの訓練をしたのも梅棹さんなんですよ」(鈴木さん)
梅棹氏は「知のプレイボーイ」と呼ばれることもある。女性に対してという意味ではもちろんなく、民族学、生態学を起点として「妻無用論」と銘打った日本の家庭観に一石を投じる論文を発表したり、大阪万博プロジェクトの中で当時は実現が難しかった「公園内の研究施設」の設立(大学院も併設する国立民族学博物館)を成功させたりと、その知的関心・活動の幅の広さと多様さをたとえたものだ。
アイドルとして5年目を迎えた若いFeamのメンバーたちも、1人の人物の足跡を実際に氏が集めた資料や、執筆した文章と合わせて見ることで感じ入ることが多かったようだ。
会場では知的生産の技術でも紹介している京大式カードや、こざねを実際に使って、展示を見て感じたこと、考えた事をデジタルデータとして記録できるシステムも置いている。
Feamのメンバーも、早速チャレンジ。
梅棹氏が初代館長を務めた民族学博物館と同様、館内の展示の多くは手に触れることができ、また撮影も自由にできる。記入したカードやこざねは持ち帰ることも可能だ。
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