ソーシャルメッセージングが持つ2つの意味と多重化の重要性モバイルネイティブで行こう(1/2 ページ)

東日本大震災に際して、iPhoneからSMSとMMS(ケータイメール)を送ったのだが、普段通りには届かなかったのは筆者だけではあるまい。LINEやFacebook MessengerなどSNSと連係したサービスでメッセージングの多様化を考えた。

» 2012年03月16日 11時25分 公開
[松村太郎,Business Media 誠]

筆者より

 東日本大震災から1年を迎えました。被災した人や被災地で過ごしている人たちには、改めてお見舞い申し上げます。


 東日本大震災を体験したときに、メッセージングの環境について改めて深く考えさせられた。地震直後に無事を伝えるSMSとMMS(ケータイメール)をiPhoneから送信したが、ソフトバンクやNTTドコモなどを使う家族にケータイメールとして届いたのは、日付が変わった0時30分過ぎ。普段からケータイメールでのやりとりになれていたが、震災の当日は、このメッセージがいつも通りにすぐに届いて無事を伝える事はなかった。

 ケータイメールを送ってからTwitterにも投稿。家族が僕の無事を確認したのはTwitterへの書き込みが先だった。その後もTwitterのDM(ダイレクトメッセージ)やFacebookのメッセージ機能などを使ってコミュニケーションを取っていくことになる。もちろん次に同様の災害が起きたときにケータイメールがここまで遅延するかどうかは分からない。しかし少なくとも、連絡手段の多重化を日常的にしておくことが重要だ、ということを気付かされた体験でもあった。

 普段皆さんは、家族や仕事の同僚との日常的なコミュニケーションを、何で行っているだろう。ケータイメール、PCのメール、あるいはソーシャルメディアなど、相手によって選び得る環境が異なり、また慣れている方法も違う。普段は一番最適な方法を使えばいいと思うが、その方法が使えなくなったときの代替手段を考えておくことも立派なリスク管理の1つだろう。

 現在スマートフォン向けに急成長している「LINE」や「Facebook Messenger」、そしてauのiPhoneも対応した「iMessage」などが代替手段の候補になるのではないか。日本の携帯電話事業者が提供する以外の手段も用意し、お互いにそのコミュニケーションに慣れておく「メッセージングの多重化」を行っておくべきだという教訓を得た。


左からLINE、Facebook Messenger、iMessage

1通17円のSMSをいかに回避するか

 日本では1999年前後から、携帯電話事業者がPCと同じ「@付き」のメールアドレスを用意してパケット通信などを通じて自社や他社のケータイ同士、あるいはPCとの間でのメールの交換が可能になった。特に若いユーザーには、大量のメールを送受信することによる高額なパケット料金を招く、いわゆる「パケ死」が見られたが、月額4000円から5000円のパケット定額制が始まると、他のコンテンツ視聴も含めてメール1通ずつの料金を気にせず扱えるような環境が整った。

 しかし、米国では電話番号を使って160文字のメッセージを送受信できるSMSが依然活発だ。他社間はもちろん、FacebookやTwitterなどのWebサービスとの連携も図っており、スマートフォン以前のネット接続を持たないデバイスとのコミュニケーションでも重要な役割を果たしている。日本でも2011年7月13日から、携帯電話事業者をまたいだSMSの送受信が可能になっている。

 さて、筆者がiPhoneを契約している米国Verizon Wirelessでは、電話番号を使ってメッセージをやりとりするSMSは1通あたり0.20ドル(約16.4円)。ソフトバンクモバイルのホワイトプランでは、ソフトバンク同士のSMSの送信が無料だったこと、7月13日以降の国内携帯電話各社のSMS送信料金が1通あたり3.15円前後になったことを考えると、16.4円という金額は非常に“高額”だ。

 もちろんSMSのパック料金もあり、1カ月1000通までで10ドル、無制限で20ドルというプランがある。「そんなに使うの?」と思うかもしれないが、日本のケータイメールと言うよりはPCのチャットに近い感覚でやりとりするため、1カ月1000通、1日にして約30通の送受信は、決して膨大な数ではない。友達10人と適当な会話(2〜3回のメール送受信)をすれば、1日あたり30通のメールは決して多くないのだ。

 しかし、この1000通までで10ドル、無制限で20ドルという料金は、パケット料金とは別だ。しかも日本と違い、米国のiPhone向けの料金プランではVerizon、AT&Tともにデータ通信無制限の定額料金を用意しておらず、筆者が契約しているVerizonでは月間2Gバイトまで、AT&Tの場合は月間3Gバイトまででそれぞれ30ドルだ。この点については次回詳しく紹介しようと思うが、SMSとデータ通信の両方で10ドル、30ドルと支払うのは「高い」と考えるユーザーも多い。

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