ニュース
» 2013年03月18日 16時30分 公開

コワーキングスペース「LEAGUE」は“新しい価値”を生み出せるかオランダに学べ(1/2 ページ)

UDSがS2Mと提携して2月に銀座でオープンしたコワーキングスペース「LEAGUE」。S2Mのロナルド・ヴァン・デン・ホフCEOと、提携のきっかけとなった書籍の著者らを招いたトークイベントで、働き方の変化や日本がどのように成長できるかを議論した。

[渡辺まりか,Business Media 誠]

 オフィスなどのデザインを手掛けるUDSが、オランダで80以上のコワーキングスペースを経営するSeats2Meet.com International(S2M)と業務提携して2月18日に銀座でオープンした「LEAGUE」。ノマドやコワーキングといった働き方を後押しする場所だという。

 利用料は1人用の「ビジネスラウンジ」が入会金1万500円、月額1万5750円。1〜3人用の「パーソナルブース」が月額5万3340円から(入会金は月額の1カ月分)。1〜8人用の「スモールオフィス」が月額26万2500円から(入会金は月額の1カ月分)。

 オープン翌日の2月19日、来日したS2Mのロナルド・ヴァン・デン・ホフCEOと、提携のきっかけとなった書籍『幸せな小国オランダの智慧』の著者である多摩大学大学院の紺野登教授(知識経営論)らを招いたトークイベントで、働き方の変化や日本がどのように成長できるかを議論した。

なぜオランダなのか

UDS代表取締役の中川敬文氏によると、S2Mとの出会いは紺野登氏の著書『幸せな小国オランダの智慧』に登場した同社の仕組みが印象に残ったことからだ

 S2Mは、SNSと連携しつつ物理的なフリースペースを提供することで知識を共有し、新しい価値を生み出すというコワーキングスタイルを確立してきた。オランダ大使館のファン・フォレンホーヴェン大使によると「洪水リスク」というオランダならではの事情が背景にあるという。

 「オランダは常に洪水のリスクを抱えてきたため、予測不能な自然災害などに柔軟に対応する土壌ができていた。全世界で生じている経済危機に対しても、かえってそれを利用し、イノベーティブな働き方であるコワーキングスタイルが生み出せた」(同大使)

 事実オランダでは外務省を含め、各省庁間で組織を横断して意見交換のできるセンターを設置。そこで知識を共有し、素早く問題を解決を図り、行政に反映できたという。


ソーシャルキャピタル先進国、オランダ

多摩大学大学院の紺野登教授

 「数百年前にオランダが日本に知識をもたらし、世界に導いてくれた」と話すのは多摩大学大学院の紺野登教授。オランダの社会や経済の持続性を解き明かし、今の日本がそれをオランダから学べることで、数百年前と同様に日本が再び発展できるはずだというのが、紺野氏の考えだ。

 日本では江戸時代だった1600年代、オランダは世界初の株式会社である東インド会社を設立。世界経済をリードする存在だった。しかし、その後帝国主義の覇権争いに破れ、衰退していったという見方が一般的。だが、18世紀の経済学者アダム・スミスの著書『諸国民の富の性質と原因の研究(国富論)』によると、オランダはその後も持続的に経済が拡大していたという。

 この経済的な発展は現在も続いており、2011年の「1人当たりの名目GDP」ではオランダは10位である。25位の日本とは大きな差。2011年だけでなく、過去20年にわたりオランダは10位前後を維持しているのも驚きである。

ソーシャルキャピタルの定義とそれを象徴する集団ポートレイト

 その背後に、紺野氏は「不確実性に強い知的弾力性」があるという。もともとオランダは何もしなければ洪水に飲み込まれてしまう国土であったため、水を律する技術に優れていた。また、ポルダーと呼ばれる干拓地の開発は集団で行うことが不可欠で、相互扶助的なソーシャルキャピタルの土壌を生み出したのだ。

 いわばオランダは、自然災害・経済災害のような不確実性を相互扶助によって乗り越え、イノベーション国家という顔を持つようになった、といえるかもしれない。もちろん日本にも同様のソーシャルキャピタルが存在していた。だがこの20年の経済的停滞のため失われつつあるという。

日本は不確実性に弱いという

 そのような中で、紺野氏は再度日本がソーシャルキャピタルを取り戻すためには次の2点が課題だという。

  • 不確実性に弱い、閉じられた傾向を取り払うこと
  • 企業や個人がリーダーシップを発揮して、平等性を取り戻すこと

 組織や部門横断的に政策の立案・実践をスピーディーに行えるよう、フューチャーセンターという機関に税金を投入したオランダのように、S2Mのようなサービスが日本に入ってくることによって、ソーシャルキャピタルの中でそれぞれがリーダーシップを発揮することができるようになる。紺野氏は「日本経済を変えていくきっかけになれればと願っている」という。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ