押してダメなら引いてみては――思考停止のススメボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/3 ページ)

ビジネスパーソンにとって「思考停止」という言葉は、何となくネガティブなイメージがありますよね。しかし仕事に追われながらも、ときには“頭をからっぽ”にすることも大切。そうすることによって、新たなアイデアが生まれてくるかもしれません。

» 2013年05月15日 12時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。

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 ビジネスパーソンにとって「思考停止」という言葉には何となくネガティブな響きがあります。なぜなら「思考停止」の一般的な解釈は「考えることや判断の放棄」「問題に目を向けない」「自分で考えずに流れに任せてしまう」などの意味として使われているからです。

 また「思考停止」という言葉は、社会的な一般常識と自分の意見の違いを論理的に考えず、他人の意見を感情的に批判する自己中心的な状態のことも差します。

 そのためか「思考停止」という言葉をインターネットで検索してみると、その多くの記事は、思考停止状態を「回避する」ための手段が書かれています。

 「そんなことやってもムダだよ」「これが普通でしょ?」「昔からそうだよ」で済ませてはいけない。「常に考え」「すばやく判断し」「スピーディーに行動する」のが、正しいビジネスパーソンの姿……というのが一般的な解釈です。

思考するために感じるストレス

 しかし忙しいビジネスパーソンのことを思うと、時には「ちょっと考えるのをやめて、違う方法を試してみたら?」とアドバイスしたくなることがあります。

 先日、Aさん(30代)の相談にのったときのこと。Aさんはプロジェクトマネージャーとして責任ある仕事をしているので、チームのメンバーに対しても、顧客に対しても、常にベストな判断をしなければなりません。日常考えることは「いかに最高の状態をつくるか」です。

 しかし、Aさんはその状態にプレッシャーを抱き始めていました。家に仕事を持ち帰ることも多く、精神的にも肉体的にも休まる暇がなく、疲れを感じ始めていたのです。

 それでもAさんは「この状態を乗り切るための方法や計画を考えたい」と話していました。

 この言葉を聞いて、私はこう思いました。「頭で考えることはとても大切なこと。けれども、頭の中で理想像と現状のギャップを埋めようとするがあまり、ご自身を追い込んでしまっているのではないか」と。

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