働くことを、一歩引いて見てみようRe:Work(2/3 ページ)

» 2013年09月04日 10時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

考え方を変えたら気持ちが楽になる

 まず考えてほしいのは、「仕事」があなたにとってどういう存在なのかということだ。例えば駆け出しのミュージシャンやお笑い芸人、役者などをイメージしてもらいたい。彼らの多くは練習・稽古をこなし、チャンスがあればオーディションやライブ出演などしながら、裏ではアルバイトなどして生計を立てている。私も実際にそうした人々が知り合いに何人かいるが、彼らにとってアルバイトを初めとした「仕事」は、夢をかなえるための「手段」に他ならないのだと感じる。

 アルバイトとはいえ、仕事である。中にはちゃんと社員として働いている人もいるのだ。本当は音楽や演劇など“やりたいこと”があるのだから、これらの仕事は本望ではないだろう。しかしあるとき、私が役者志望の知り合いに「仕事は辛くないか」と聞いたときに返ってきた言葉は、次の通りだった。

 「仕事を楽しいかと言われれば、別に楽しくはない。確かに言われてみれば、つらいと思うことはある。しかし舞台に立つことが夢で、そのためには稽古をするためのお金、舞台に立って稼げるようになるまで生きるためのお金が必要なんだ。そう考えれば、仕事をすることでその夢への道が開けているのだから、辛くはないね」

 もちろん仕事と稽古の両立は大変だろう。顔には疲れも見られたし、いつ夢をかなえられるかは分からない。もちろん、かなえられない可能性だってある。しかし彼にとって、頑張れるのに夢をあきらめなければいけないような状態のほうがつらいのだ。だから話をしてくれた知り合いの目はイキイキとしていて、幸せそうに見えたのだろう。

 この話を聞き、私は確かにそうなのだろうと思った。少し思考は異なるが、私にとっても仕事とはあくまで手段の1つだからである。今は会社の経営、そしてフリーライターとして2つの顔を持ち仕事をしているが、それが全てとは思っていない。家族と過ごす時間が大切だし、今や趣味の域を超えそうなマラソンも、もっと楽しんでいきたい。しかし、そのためにはお金も必要だ。そのために働く。働くからこそ、そうした“他のもの”が得られているのだと思う。

 これはほんの一例にすぎないが、仕事に対する考え方を変えることが、ストレスやつらさから開放される1つの方法になり得るのではないだろうか。

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