ぶら下がり社員は30代だけじゃない――上司、会社側ですべき対応とは?続「新・ぶら下がり社員」(2/3 ページ)

» 2013年10月03日 12時00分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

会社側でするべき「新・ぶら下がり社員」への対応

上口 ここからは、会社、組織側でできる対策について聞いていきたいと思います。まず前提として、吉田さんが書籍『「新・ぶら下がり社員」症候群』の中でも述べていましたが、「新・ぶら下がり社員」を減らすには、本人と会社側両方の努力が必要となります。本人については、前ページで紹介したように「自分のそもそもしたいこと」や「自分のよさ」に気付くことが重要となります。

 では会社側、特にぶら下がり社員を部下に抱える上司はどのような対応を取れば良いのでしょう?

吉田 大きく2つあると感じています。1つは、20代のうちにさまざまな経験をさせること。30歳くらいで諦めてしまった人は、何だかんだで20代にその原因があります。例えばずっと同じような作業を5年間くらい繰り返しているなど。仕事を通じて自分の価値を感じられないままずっと過ごしてしまっている人などがそうです。

 ぶら下がる人は、30歳になって急にポーンと諦めるわけではなく、いろいろなものの積み重ねが原因となっています。20代はすごく感受性も高いですし、影響も受けやすい。そして、ものすごく成長できる時期でもあり、大きな可能性を持っています。にもかかわらず、20代のうちに刺激のない状況で過ごさせてしまった職場が、ぶら下がり社員を生む背景にあるんです。

 ぶら下がる30代が悪いのではなく、やはり20代からきちんと育成をしていく大切さを訴えたいですね。

上口 20代の社員には、どのような能力を伸ばしてもらうのがいいのでしょう?

吉田 よく「主体性を持つように」と言いますが、無理やり主体性を発揮させようとすれば、言われてやっているので「それは受け身的」といえますよね。本人が心からしたいこと、人から言われてするのではなく自分の中で湧き上がるものに気付かせてあげましょう。

 自分自身の想いや大切にしていることを基に、自分は周囲に影響を与えられるんだ、という経験を20代から1つでも多く積み重ねてほしいと思います。それを積み重ねると、だんだん影響力が大きくなって、例えば、最初は「上司や周りの人が笑顔になってもらう」ことを目指していたのが、社外の人にも笑顔になってもらうだけの影響力を発揮できるようになります。

 よく管理職になった瞬間に、「はい、あなたは管理職になったから周りに影響力を与えてください」みたいなことになるんですけども、やはり無理ですよね。だから多くの人は管理職になれといわれてもなりたくないわけです。

 しかし20代のころから周りの人に影響を与えられる経験を積み重ねていれば、「管理職」になった後も、周りの人に影響を与え続けられます。この影響力とは「リーダーシップ」といわれる力で、「リーダーシップ」は役職者だけが発揮するものではなく、働く全ての人が発揮するものなのです。ですのでそういう経験を20代から1つでも多く積ませることで会社にも良い影響になりますし、本人の自信にもつながります。

 「リーダーシップ」と言いましたが、それは別に大それたことじゃなくて「周りの人に笑顔になってもらう」といったことでいいと思います。そういう経験を1つでも多くできるよう、本人もそうですが会社側が用意してあげてください。

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