【オンタイム編】これさえ知っておけばOK。伝えたいことがうまく伝わる話法とは?岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術

伝えたいのに、うまくポイントが伝わらない」――。仕事でこんな経験をしたことはありませんか? そんなときには、考えを整理して伝えるためのテクニック「PREP法」を使ってみましょう。

» 2013年10月07日 11時00分 公開
[岩淺こまき,Business Media 誠]

岩淺こまきのON/OFFで使えるプレゼン術

 プレゼンテーションが苦手だと思っている人、ちょっとしたコツを知っておくだけで、プレゼン上手になれるのをご存じですか?

 この連載では、プレゼンテーションスキルを磨くためのテクニックをご紹介します。といっても、ただ、ビジネスに役立つテクニックを紹介するのでは面白くないので、私生活で役立つテクニックも合わせてご紹介することにしました。

 月曜日にはオン(ビジネス)、金曜日にはオフ(私生活)で役立つプレゼン術を公開します。


 この記事を読んでいる皆さんは「相手に伝えたい、でも伝わらない……」という、もどかしさを1度は経験したことがあるのではないでしょうか。一生懸命伝えても「それで、結局何か言いたいの?」と言われて終わってしまうのは、本当に切ないものです。今回は「とにかくこれだけ実践すれば、言いたいことが伝わる話法」を紹介します。

 人に何かを伝える場合に、「PREP(プレップ)法」を頭に入れておくと頭の中を上手く整理できます。PREP法とは、以下の構成で説明することです。

  • Point―― 「自分が伝えたいこと」
  • Reason―― 「自分が考えた背景、理由」
  • Example――「事例、具体例」+「つまりこういう効果が見込める」
  • Point―― 「だから自分はこれを伝えたい」

 なぜPREP法で話すのがよいかというと、伝えたいことが「冒頭と最後に示されているから」です。

 「結局、何が言いたいの?」と言われてしまう人の話には、Pointが欠けていることが多いのです。そんな人たちの多くはReasonの説明に終始してしまいがちで、そうすると聞き手は「説明はよく分かったけど、それで?」と思ってしまうのです。

 あるいは、Exampleの数を多く出しすぎたり時間を長くかけすぎたりした結果、Pointがぼやけてしまうことも多いようです。Exampleも数が多ければいいというわけではなく、あくまでPointを後押しする情報であることを忘れてはいけません。ちなみに、ビジネス上のExampleを出すときに重要なことは、「つまりこういう効果が見込める」という内容を付け加えることです。Exampleだけ提示しても、ただの情報提供になり、Pointの後押しが薄れてしまうことになるからです。

 それではここで、「結局何が言いたいの?」と言われる話し方の例をご紹介します。それを基に、どのように話したら相手に伝えたいことがうまく伝わるかを考えてみましょう。

事例:××システムの新担当者から、上司へのお願いの場面

××システムの件なのですが、先日こういったこと(困った事例)がありました。前任の山田さんの頭の中にしかない情報やノウハウが多々あるんです。みんな困っています。××システムの運用、前任の山田さんじゃないと、無理です。


 読んでいて思わず、「それで?」と言いたくなってしまいませんか? 話し手が困っていることも分かるし、山田さんしかノウハウを持っていないことも分かります。山田さんに担当者を戻してほしい、と察することもできますが、実際のところ、よく分かりません。これをPREP法を活用して話すと、以下のようになります。

Point ××システム前任者、山田さんのノウハウを共有できるようにしたいのです。山田さんに運用マニュアルを作成していただくか、レクチャーをしてもらえるよう、ご調整いただけませんか。

Reason 実は、山田さんの頭の中にしかない、情報や運用ノウハウが多々あるのです。

Example 先日も、こういったこと(困った事例)がありました。その際はことなきを得ましたが、このままだと大きな被害や顧客離れにつながらないかと、心配です。

Point 山田さんのノウハウが共有できるように、ご検討いただけませんか。


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 このようにPREP法を意識すると、自分の伝えたいことを簡潔にまとめることができます。Pointを冒頭と最後に示すことで、相手の「結局何が言いたいの?」という事態を防ぐこともできます。ぜひ練習して、使いこなせるようになってみてください。

 ただ、緊急度や重要度の高い仕事で、初めてPREP法を使うのはリスクがあるかもしれません。仕事のやりとりの最中、頭の中で「PREP……PREP……」と考えていては、話し方もぎくしゃくしてしまうし、心ここにあらずで、聞き手に不信感を抱かせてしまう可能性があります。

 そこでまずは、日常やプライベートで使ってみることをおすすめします。日常やプライベートで練習して、仕事中には少し意識すれば使えるレベルにするのが望ましいでしょう。日常やプライベートの練習相手には、自分がPREP法を練習していることを伝えておきましょう。あなたが急にぎくしゃくと話し出したら、相手がびっくりしてしまいますから。

著者プロフィール:岩淺こまき

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 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師

 大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。

日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。



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