誰かに自分の論述を伝える場合、一般には2つのストーリー仕立てがありますが、ビジネスの場合には、結論からスタートするのが定石です。例文を基にその意図を解説しましょう。
今回は、小論文やプレゼンテーション、報告書などを自分なりの意見で簡潔にまとめて、相手に分かりやすく伝えるときに使える「形」を覚えておきましょう。その形はピラミッド型になっています。
まず、全体を通して何を述べるのか、それに対する結論は何なのかが最初にきます。その次に、結論に至った「理由」です。理由が1つだと結論を導き出すには少し弱いので、可能であれば3つ程度挙げられるようにしましょう。3つの理由はそれぞれが被っておらず、結論を導くために論理的に正しければOKです。
時間があれば、さらに理由を具体的に証明できるような根拠を用意しましょう。事例、統計データなどの客観的な情報がベターです。主観ではなく、客観的に、論理的に導かれた結論であることを印象つけることが大事です。
論述の中で、どの順番で取り上げていくかは2通りあります。1つ目は結論→理由→理由の理由(データ)という「なぜならば……」をつきつめていくストーリー。2つ目は、データから見える結果を挙げ、それらを集計すると得られる結論を導き出すという「だから……何」を繰り返すものです。どちらも、ピラミッド型の論理構成なので同じものですが、ビジネスや短い時間で論点を伝える場合は、結論からスタートするのが定石とされています。
例えば小論文のテーマが「高齢化社会にどのように取り組むべきか?」ということであれば、どのようなシナリオが考えられるでしょうね。高齢化で介護などの負担をどうするか、年金などの負担をどうすべきかという話はニュースでよく耳にすると思いますが、論文ではあなたの意見を述べる必要があります。よって「増える負担をカバーする方策」も合わせて提案したいものです。
また、増加した高齢者が持っている技能などを生かして現役世代の技能向上や教育に役立たせ、負担をする現役世代の収入を増やすといったことも考えられます。あるいは保育所が不足して働きに行けないワーキングウーマンをサポートする活動を高齢者がやる、なども考えられるかもしれません。
結論が「育児ビジネスにおける現役引退後の高齢者の有効活用」になれば、その理由として「経験豊かな多くの現役引退者の存在」「景気後退による現役世代の収入減」「保育所不足などによる女性の労働機会の損失」などを挙げます。
それらの事象を保管するデータなどを数値で挙げられるのであればなおいいですが、手元にない場合は、知りうる範囲内で具体的なエピソード、例えばテレビで保育所の待機児童が増えすぎて、入所倍率が10倍以上になっている自治体が多くあるというニュースを見た、というような具体例を含むエピソードを入れてもいいと思います。
このようにビジネス上の小論文やプレゼンテーション、報告書などまとめる際には、図で示したピラミッド型を意識して、結論からスタートする論述を意識してみましょう。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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