部下がホウレンソウをしない、遅い――というのは、上司の永遠の課題だが、嘆いていても何も変わらない。部下が進んでホウレンソウしたくなる雰囲気作りに役立つ上司のひと言とは。
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
後輩の指導に当たっている立場の方たちからこんな話が出た。
「新人がホウレンソウ(報告・連絡・相談)しないんだよね」「うちの若手は、ホウレンソウがいつも遅くて」「こっちから尋ねれば答えるけど、自分からはなかなかホウレンソウしてこない」――。上司が部下に対してこう感じているという話は、いつの時代でも耳にする。今、嘆いている人たちだって若手の頃には、上司や先輩からそう思われていただろう。
若手に尋ねると、彼らは彼らなりの基準で「ホウレンソウをしている」と言う。していないのではく、している。しているのだが、どうも叱られる。
「遅い」
「そういう内容ではダメ」
「相手が違う」
「メールじゃなくて口頭で言わなきゃ」
などなど。When、What、Who、How、あらゆる切り口で注意を受けているようである。
先輩に状況を詳しく聴くと、こんなことが起こっているらしい。
「スケジュール通りに進んでいるのだなと安心していると、最後の最後で遅れています、と言い出す。もっと早めに報告や相談をしてくれれば、ことが大きくならないうちに手の打ちようもあったのに、相談された時点ではかなりの手戻りになることもあって……」
「あれどうなった? と訊けば答えるけれど、自分から言ってこない」
嘆いてばかりもいられないので、「なぜ、ホウレンソウが後手後手になるのか」を、先輩たちに考えていただいた。
「報告すると叱られると思っているのではないか?」」
「叱られた経験があったら、つい後にしよう、と思うかもね」
「報告や相談をすると、『また新しい仕事が降ってくるから嫌だな』と思っている可能性もある」
「あるある」
「ボクも帰ろうと思って報告に行ったら、『ついでにこれも』って新しい仕事を依頼され、帰るに帰れなくなるってことがあった」
「だから言わないのかな」
先輩たちは、こう分析した。「ホウレンソウ」によって自分に降りかかるネガティブな何か(叱られる、仕事が増えるなど)を想像してしまい、ホウレンソウが疎かになるのではないかと。
もちろん、マズイことがあった時、報告や相談が遅れることで、たいていの場合、事態はもっと悪化する。それにもかかわらず、今、この瞬間に、「叱られたくない、文句言われたくない、余計なことを抱え込みたくない」という気持ちのほうが先に立って、言わずにすませたり、先送りにしたりするということはあるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.