子育てと仕事を両立している女性3人に集まってもらい、会社側が用意している制度をどのように活用しているのか。今後子育てをしていくうえで、会社側に求めることなどを聞いた。
育児をしながら働く女性は、男性社員や会社側に、普段どのような考えを持っているのだろうか。2児の母親である女性3人に集まってもらい、「在宅勤務制度を使ううえでの悩み」「男性社員とのコミュニケーション」「ワーキングマザーに焦点が当たる最近の風潮」について本音を語ってもらった。
現在、育児休暇中。復帰時には10〜16時の時短勤務をする予定。出産前は広報という仕事柄、夜も社外の人と食事に行く機会が多かったが、出産後はランチミーティングに変えるなどの変化があったという。
自社製品のビデオ会議システムを活用し、週の約半分は在宅勤務を行う。海外とのやりとりが多いので、早朝のメールチェックなどが発生する。在宅勤務時には家事をこなしながら仕事を、オフィス出社時には時短勤務で帰宅後すぐに子供の面倒を見るなどして対応している。
出産前から続けていた朝型生活で、育児と仕事を両立している。管理職なので基本的には毎日出社し、部下とのコミュニケーションを重視。突発的な予定が発生した場合には在宅勤務を活用している。
――ポリコムやサイボウズでは時短勤務に加えて、在宅勤務も許可されています。実際に活用してみての感想を教えてください。
工藤さん: ポリコムでは全社員が自社のビデオ会議システムを使った在宅勤務を許可しています。私も週に半分ほどは在宅勤務をしていますし、他の社員も親の介護や震災時に活用しました。緊急時でもすぐに在宅勤務ができる環境があるのは、とても安心です。
中根さん: 在宅勤務は育児中の人に限らず、もっと多くの企業で普及するといいと思いますね。みんな何かに遠慮をしていて使っていない印象です。恐らく、日本で在宅勤務が普及しない理由は、上司側の怠慢ではないでしょうか。
工藤さん: 自分の目に見える範囲に部下がいないと困る。監視したいようなことでしょうか?
中根さん: 会社にいれば、場所は監視できた気になりますよね。つまり、場所(会社)を離れたらその社員はサボるかもしれないと、部下を信じ切れていないわけです。あと、日本人はまじめなので、在宅勤務中でも業務時間内なので常にきちっとしていないといけないという固定概念がある気がします。別に在宅勤務中にちょっと洗濯機のスイッチを入れに行くくらいいいですよね。
工藤さん: (在宅勤務中に洗濯をした)経験がありますが、家事に関しては仕事の合間にしようと思うとかえってストレスになってしまって……。
中根さん: 在宅勤務をすると疲れるという声はよく聞きますね。何か成果物を出さないとサボっていると思われるんじゃないかと心配をして、普段以上に長時間勤務をしてしまうんです。そもそも在宅勤務は働く場所にとらわれずに成果を出すための制度なので、会社にいないからといって後ろめたがる必要はありません。ただ、時間に関しては、チームメンバーが同じ時間帯に働いているほうがコミュニケーションを取りやすいというのはありますね。
――子育てと仕事を両立して働くうえで、他の社員にサポートしてもらって助かった、もしくはこうしてくれたら助かる、といったことがあれば教えてください。
大久保さん: 私は会社で他の社員と話をするときに、自分がワーキングマザーだから、というのはあまり意識していません。かといってまったく家庭のことを出さないわけではなく、自分の子供の話もしますし、フランクに接しています。
例えば独身の男性社員などは、ワーキングマザーのことはあまり分からないと思います。だからといって、腫れものに触るようにしたりする必要はありません。1つの属性として「この人は子供がいる女性」として捉えてもらっていいのではないかと思っています。そのほうがお互いにストレスがないですし。
工藤さん: ポリコムでは今度、4人目の子供が生まれる男性社員がいるのですが、その人はさすがに4人目になると奥さんを助けないとまずいと思っているようで「出張はできません」と言い切っています。周りもそれを理解していますし、自然に人として助け合ったらいいのではないでしょうか。
大久保さん: 子育てに関しては、子供がいる男性はすごくフォローしてくれます。
工藤さん: 大変さを分かっているので、やさしい声をかけてくれますよね。特に仕事がっていうよりも、子育てに対して「いま大変な時期だよね」と声を掛けてくれます。17時を過ぎてオフィスにいると「早く帰りなよ。お迎えでしょ、子供が待っているよ」など。
大久保さん: 私も言われます。「まだいるの?」とか。
工藤さん: そうして声をかけてもらえるのは、居心地が悪いことではありませんよね。ただやはり私の場合は、潜在意識として「子育てをしているから、できていないと思われたくない」という考えがあるのか、無理に頑張りすぎてしまっているなと感じることもあります。
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