「同じような内容の企画でも、自分の出したものが採用されない」「ふと気づけば、話しているときに相手がつまらなさそうにしている」――それは話し方の問題なのかもしれません。
ふと会社を見渡してみると、内容は同じなのに話や企画が会議で通りやすい人、通りにくい人っていませんか?
「何で同じ内容なのにあの人に意見ばかりが通るんだろう? 上司はあの人をひいきしてる!」と考え、ムッとしてしまう人もいるかもしれません。そんな人は少し冷静になって、こう考えてみるのはいかがでしょうか。
ひいきではなく、自分の話がよく分からない(通じていない)のではないだろうか……。
あくまでも私の経験則ですが、そのような場合、何を言っているのかよく分からない、伝わっていないから通らないというケースが大半のように感じます。今回はいわゆる“黄色信号”な話し方、立ち振る舞いを紹介します。
例えば、ある商品企画の話を社内で会議にかけるとしましょう。その企画には3人のプレイヤー(ユーザー、潜在顧客、自社)が存在するとします。伝わらない話をする人は、この3人を混在して話す傾向があるのです。例えば、初めはユーザー視点で企画の内容を語っていたのに、そのすぐ後には自社視点、そしていつの間にか潜在顧客視点へと変えてしまうのです。
それだけであればまだマシですが、主語を言わないまま話を進める人もいます。聞いている側からすると、「あれ? この人はどこの視点の話をしているんだろう?」と混乱してしまい、話がすんなりと伝わらない原因になります。
伝えたい話の背景情報を省いて話すケースは非常に多く見られます。その背景情報が重要な判断材料になっていることが多いにもかかわらずです。
省いてしまう原因の大半は背景情報を共有した気になっている、あるいは背景情報の重要性を認識していないことから起こります。
特にメールの返答で見られることが多いのですが、意味を持たない言葉を重ねて使うことで、会話が深くならないケースがあります。
これは伝わらない話をする人とは多少違うポイントですが、この人に話したってどうせ伝わらないだろうな、という感情を抱かせる一例です。
例えば、「ありがとうございます! 助かります! これからもよろしくお願いします!」などの清々しい“勢いだけ返答系”です。本人は気分爽快に返信しているつもりでも、この一つ一つの言葉にはさほど重要な意味はありません。
このような返答からは、会話が広がることも、話の核心に触れられることもありません。
伝わる人、できる人はたとえ上記のような返答でも、「ありがとうございます。ところで○○の件ですが、その後の○○さんとの調整はいかがでしょうか?」など場面転換をし、意味ある会話に持ち込む能力に長けています。この一文があるだけで、相手の印象はかなり変わるはずです。
これは2とかぶるケースがありますが、伝わらない会話の典型的なケースです。1つの話に何度も何度も質問を重ねてようやく全容が見えてきます。次のような例です。
Q. 先週の企画会議にあがったキャンペーン、スケジュールに遅延はない?
A. 一部遅れてます。
Q. 何が遅れてるの?
A. Aさんに任せていた箇所です。
Q. なんでAさんの箇所が遅れてるの?
A. 先週休んでいたからです。
「先週休んでいたAさんに任せていた箇所があり、その部分が遅れています」と一回で全部回答できれば、周りからしてもこの人は理路整然として分かりやすい、と思われるでしょう。
どんなに才能があって、出す企画が優れていても、伝えたいことが伝わらず、その意図に誤解を与える人がいます。実にもったいないですよね。
聞く側の気持ちに立って少し工夫するだけで、話は通じますし、周りの見方も随分と変わるはずです。