自動販売機にコーヒーを買いにきたスマ彦。ふと見ると部屋の隅に須磨夫課長が……。なぜかコソコソと隠れるような仕草でスマホをいじっているようだ。
スマ彦: ……課長、なんでそんなところに隠れているんですか?
須磨夫: 見るな! 見るんじゃない!
スマ彦: ええー!?
須磨夫: 今、パスワードを入力中なんだから。見るな! こっち来るな!
スマ彦: そこまでセキュリティが不安なら指紋センサーが搭載されているスマホにしたらどうですか?
須磨夫: ああ、指でやるやつね。それだったらパスワードを忘れることもないよな。
スマ彦: もしかして、今、パスワードを忘れてました?
須磨夫: ……ちょっとまごついただけだ! だいたいスマホのロック解除はともかく、なんでも指紋認証になるわけじゃないだろ。
スマ彦: だけど、いろんなパスワードを記録して、それを指紋認証で管理する、という手もありますよ。
須磨夫: ん? それは便利そうな……。
スマ彦: たくさんのパスワードをスマホに記録しておけば、いつでも確認できます。ロックは指紋認証だから、たとえ誰かに盗まれてもパスワードをはじめ、データを見られる心配はありません。
須磨夫: そういう機能があったら、仕事で使うには最高だな。
スマ彦: 指紋センサーを搭載しているスマホは少ないですけど、あると安心できると思いますよ。
須磨夫: もう隠れなくてもいいのか……。
スマ彦: ……。
須磨夫課長のスマホに電話が。どうやら奥さんのようだが、須磨夫課長はだんだんと困惑顔に……。「ちょっと聞こえにくい」「なんだって?」など歯切れの悪い言葉が続く。
須磨夫: あー、うん、え? あー。
須磨夫: え? 聞こえないよ。……うん、ああ、え?
疲れきった表情で電話を切る須磨夫。
スマ彦: なんだか大変そうでしたね。
須磨夫: 音がとても聞こえづらくてなあ。音質が悪過ぎるよ。
スマ彦: 奥さんもスマホですか?
須磨夫: そのようだ。外出先から電話をしてきたらしい。電波の状況もあるんだろうけど、最近、妻との電話は音質が悪くてなあ。結局、何かガーガーギャーギャー言っていたが、よく分からなかったよ。
スマ彦: (それって怒鳴っていたんじゃ……)設定で直るかもしれませんよ?
須磨夫: 通話の設定で? 何かあったかなぁ。
スマ彦: 相手の声をはっきりゆっくり聞こえるようにしたり、機種によっていろいろあるみたいです。通話中にオン/オフできる場合もありますよ。
須磨夫: なるほど。だけどガーガーギャーギャーだぞ? 効果があるかな?
スマ彦: だったらVoLTE対応のスマホがいいかも。
須磨夫: ボルテ?
スマ彦: 大容量の通信ができるLTEを、音声回線として使う機能です。これで通話も高音質になるんです。
須磨夫: それはいいな!
スマ彦: ただし、VoLTEに対応したスマホ同士でないと、VoLTEの高音質は体感できないので……。
須磨夫: 妻のスマホもVoLTEに変えろ、と。
スマ彦: はい……。
須磨夫: これは難問……いや、よい機会かな? スマホを新しくできるかもしれない。
スマ彦: そうなったらいいですね!
今日は朝から社長が出席する大事な会議。普段の社長は「優しいお爺さん」だが、今もビジネスの最前線で指揮をとっており、一度怒らせると容赦ない。須磨夫課長とスマ彦も緊張気味だ。
須磨夫: ……なんとか今日の会議も終わりそうだな(ボソッ)。
スマ彦: そうですね。最近我が社は好調ですし。とくにうちの部署はかなり貢献できていると思います(コソッ)。
社長: それでは皆さん、来年も……
♪チャラリラリリリン、チャラーン! ドドドドドワー!♪
そこに突然、会議室に響き渡る着信音。あろうことか、須磨夫のスマホが鳴っている!
須磨夫: あわわわわわ、音量ボタン、どこよ? 音量ボタンは!
スマ彦: 右です! 右側面です!
社長をはじめ、幹部社員の冷たい視線が須磨夫課長に注がれる……。
スマ彦: いいかげん、新しいスマホにしましょうよ!
須磨夫: いやいや、今日はマナーモードを忘れただけだから……。
スマ彦: イマドキのスマホは、突然着信があってもすぐ、簡単に音を消せるんですよ。
須磨夫: へー、どんな風に?
スマ彦: スマホを裏返しにするだけで音を消せる、というのが多いですね。そういえば、周りの環境を判断して、音量を調整するというのもあるか……。
須磨夫: それって会議中は音量が小さくなるとか?
スマ彦: ええ、逆に駅など周りが混雑しているときは、音量を大きくしてくれます。
須磨夫: 設定忘れが多い私にピッタリじゃないか!
今日は朝から大雪。須磨夫課長はスマホの操作に四苦八苦している……。
須磨夫: くそっ、このスマホ、防水なのに!
スマ彦: 課長、おはようございます。朝からどうしたんですか?
須磨夫: ああスマ彦、おはよう。いや、スマホの画面が雪に濡れて操作しづらくてな。文字を入力するだけでも、誤操作ばかりだよ……。
スマ彦: 画面が濡れると反応が悪い機種があるんですよね。僕のは大丈夫ですけど。
須磨夫: あれ? 本当だね、スムーズに操作できるんだな。
スマ彦: このスマホ、防水のうえ、濡れていてもしっかり反応するんですよ。まるで画面にピタッと吸い付くみたいに。
須磨夫: いくら寒いからといっても、手袋をしながらの操作は難しいんじゃないの?
スマ彦: ああ、これですか、いえ、そんなことありませんよ。
須磨夫: あ、最近よく売っているタッチパネル対応の手袋なのか?
スマ彦: いえいえ、これは普通の手袋です。実はこのスマホ、手袋専用の設定があるんですよ。その設定を有効にすると、タッチパネルの感度が良くなって、手袋をしながらでも操作がスムーズなんです。
須磨夫: え? じゃあ、娘がプレゼントしてくれた分厚い手袋でも操作できるのか?
スマ彦: さすがに限度があると思いますけど、そんなに厚いんですか?
須磨夫: それだけ大切に思っている、って感じたよ、俺は。
スマ彦: そうですか……。
ようやくスマ彦と相談して決めたスマホを買った須磨夫課長。自宅でゴロゴロしながら機能を確かめていると、スマ彦から電話が。
須磨夫: お、スマ彦くん! 昼間はつきあってくれてありがとう!
スマ彦: お休みのところすみません、A社が急に書類を確認してほしいと言ってきまして……。
須磨夫: おお、そうか。じゃあメールで送ってよ。
スマ彦: もう送ったので、確認してもらえますか?
須磨夫: どれどれ……あ!
スマ彦: どうしました? なにか不備でも!?
須磨夫: いや、俺がゴロゴロ寝転がっても、画面がちゃんと俺の向きにあっているんだよ。
スマ彦: ……最近のスマホは顔と画面の向きを合わせることもできるんです……。
須磨夫: そうか、これは便利だなあ(ゴロゴロ)。
スマ彦: ……で、書類の中身はどうなんでしょうか?
須磨夫: 問題ない(ゴロゴロ)。
スマ彦: ……(本当かな)。
新しいスマホを買った須磨夫課長、部下たちにスマホを見せびらかしに意気揚々と出勤してくるかと思いきや……なぜか寝不足のよう。いったい、何があったのか?
スマ彦: 課長、その目の周りのクマは!?
須磨夫: 寝不足だ……。
スマ彦: 何があったんですか?
須磨夫: それが分からないんだ。とにかくよく眠れない。突然何かに蹴りを入れられる夢をみたり……。
スマ彦: それは悪夢ですね……眠りが浅いのでしょうか? 睡眠時間が足りないとか。
須磨夫: 自分では寝ているつもりなんだが。なにしろ寝ているときのことだから分からんな。毎朝目覚ましが辛いよ。
スマ彦: だったら目覚まし時計のアプリを使ってみては?
須磨夫: 大音量が鳴るだけだろ?
スマ彦: いえいえ、睡眠の状態を記録して、寝起きが辛くない時間帯を選んで、徐々に音量を上げながら起こしてくれるんですよ。課長のスマホにも搭載されていますよ。
須磨夫: そうなのか? じゃあ使ってみようか。
須磨夫: うーん(と背伸びして)気持ちよく起きれたなあ。
奥さん: むにゃ? あら、あなた、先に起きてたの?
須磨夫: うん、新しいスマホのおかげかな。
奥さん: そう、いいわね。私も今日買いに行こうかしら。
須磨夫: そうするといいよ。ところでなんで君の足が僕の布団まで届いているの?
奥さん: あら、やだ。ちょっと寝相が悪かったかしら?
須磨夫: ……(これが最近の寝不足の原因だったのか)
機種変更に踏み切った須磨夫課長。どうやら新しいスマホに満足しているようだ。仕事選びに役立つスマホ選びのポイントはどこだったのか、スマホ売り場の須磨夫課長とスマ彦の会話をプレイバックしてみよう。
須磨夫: スマ彦はいろいろ、あの機能がいい、このアプリがいいって言うけどさ、結局、どのスマホを選べばいいんだい?
スマ彦: まずはスマホに詳しい人に聞いたりWebで調べたりして、自分に必要な機能を見つけることですかね。ショップに行って店員さんに聞いてみるのもおすすめです。あとはショップに行って実際に試して、使い心地がいいものを選ぶとうまくいきますよ。
須磨夫: なるほど、それでスマ彦はどのスマホを使っているんだっけ。
スマ彦: この冬モデルのスマホの中に、須磨夫課長に教えた機能が全部入っているやつがあったので、それに決めましたよ。
須磨夫: えっ、そうなの!? いつのまにか、スマホもそんなに進化していたんだね。
スマ彦: スペックも大事ですけど、仕事や日常で活躍する小さな機能や設定もよく見ないと。どんなに派手な機能を搭載していても、仕事で使えないんじゃビジネスパーソン向きのスマホとは言えないでしょう?
須磨夫: 当然だ! よし! 新しいスマホも買ったことだし、明日からイケイケ、ノリノリでバリバリいくぞっ!
スマ彦: ……(張り切りすぎて不安だ……)
スマホを買うときは、どうしてもカタログに載っている新機能ばかりに目がいきがちなもの。でも、仕事で使うスマホを選ぶなら、地味ながらじわじわ効いてくる機能もしっかり見ておいた方がいいだろう。
ビジネスパーソンのニーズは千差万別であり、それぞれが「こんな機能があったら」「うちの現場にはこのスペックがないと」といった要望を持っていることだろう。自分の仕事に必要な機能をリストアップし、店頭で使い心地をチェックすれば、きっと仕事のベストパートナーになってくれるスマホを選べるはず。本記事がその参考になれば幸いだ。
イラスト:ばじぃ
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