「不機嫌オーラ出しまくり」「なんかピリピリしてる」「ため息を連発してる」「すごい勢いで受話器を叩きつける」――。ストレスがたまって、つい、こんな態度をとってしまう管理職のあなた、若手が冷ややかな目で見ているかも……。
今日、なんかピリピリしてるなぁ。話すのは後にしよう……。
さっきから不機嫌オーラ、出しまくってるし。そっとしておこう……。
会議が終わってからため息を連発してるなぁ。大丈夫かな。
うわ、ビックリした! すごい勢いで受話器を叩きつけてるよ……。
――おどろくなかれ。これらはすべて、40代上司のふるまいに対する20代若手社員の心の声だ。彼らは「上司たちの“ご機嫌取り”は、結構メンドクサイですよ」とぼやく。
「私たちは何かを生産したり、売り上げや利益に貢献したりすることでお給料をもらっているのであって、上司の機嫌を取るために働いているわけじゃないんですけどね……」
ここでいう“ご機嫌取り”は、“評価目当てのおべっか使い”とはわけが違う。“自分が仕事をしやすい状態にもっていくため”に、上司の機嫌に配慮し、必要以上に気を遣うことがあるというのだ。
学生の頃、「上司というのはきっと年長者としての威厳や風格を備えている人であり、たたずまいも落ち着いている。若手には思いつかないような発想や思考をするすごい存在に違いない」と思っていたかもしれない。ところがいざ社会人になってみると、“意外に幼い人もいるんだな”と気づいたらしい。
もちろん社内には、本当に素晴らしい上司や尊敬できる上司、見習いたいと思える先輩たちもたくさんいる。一方で、「え? こんなに不機嫌を顔に出すの?」「なぜ、部下に当たる!?」と眉をひそめるような言動をする人が意外に多いのに驚いたのではないだろうか。
上司もさまざまなストレスにさらされており、思わず感情を表に出してしまいそうになることもあるのは分かる。でも、そこで感情をあらわにしないのが“上司”の務めでもある。
感情を表出してしまう人というのは、心のどこかで「それをしても許される」と甘えているのではないだろうか。
例えば、取引先の重役との会合で不機嫌な態度を取る人はいないだろうし、役員に対するプレゼンの場でぞんざいな言葉を使ったり、書類を叩きつけたりはしないだろう。人は、“この場面で”“この人の前で”こんな態度を取ったらだめだと分かっていたらやらないものだ。
なのに、部下に対して感情を示すのは、部下なら「許してくれる」「分かってくれる」「受け入れてくれる」と考えているからに違いない。一方、そういう態度を気にかけなくてはならない立場におかれる部下たちは、仕事とは直接関係ないことにエネルギーを使うことになる。よほど勇気がなければ、部下が自ら上司のそんな振る舞いを指摘することはないだろうから、上司の態度も改まらないままになってしまうのだ。
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