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» 2015年02月25日 10時00分 公開

700万人メンタル不調時代に効く処方せん:ストレスチェック義務化の開始までに会社が準備しておくべきこと (2/2)

[神谷学,Business Media 誠]
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普段からカウンセリングへの抵抗感を払しょくしておきたい

 まず考えられるのは、高ストレスと判定されても面談の申し出をしない従業員に対して、面談を受けるように周知するということです。厚労省の検討会での議論では、高ストレス者に対して手紙やメールで状態を確認し、面談指導を促すことが想定されています。しかし、先ほど述べた理由により従業員にとって会社の人事を経由した産業医面談は、なかなかハードルが高いものです。

 そこで次に考えられるのは、守秘性が保たれた社内の保健師などによる相談室の設置や、外部のメンタルヘルスケアサービス会社が提供するカウンセリングサービスと契約し、気軽に従業員が相談できるような体制を用意するということです。

 もちろんこうした相談窓口があったとしても、一般社員にとってそれを使うことはハードルが高いかもしれません。しかし、カウンセリングは現在かなり幅広いテーマを対象としており、必ずしも症状が重い人のためのものではありません。職場の問題、家族の問題などちょっとした不安の相談にも使えます。

 こうした窓口の利用促進による活性化は、問題の解決にもつながりますし、仮にメンタル不調の傾向がみられる人がいたら、医療機関などを紹介できます。また相談をしていく中で、会社との連携が必要であるということになればカウンセラーや保健師がうまく本人と話をしながら、産業医や会社と本人の橋渡しやコーディネートもできるでしょう。

ストレスチェック結果の取り扱いに備えるために

 社員の高ストレス状態が職場の問題などに起因していて、それがメンタル不調に陥るリスクがある従業員については、最終的に就業環境の調整が求められます。そのためには本人が産業医と面談することが必須となり、面談した産業医はアドバイスを会社に行います。それを基に会社は、その社員の高ストレス状態が緩和されるような措置をとる必要があります。

 こうした制度について、ストレスチェックの結果や産業医との面談内容などによって、何らかの不利益があるのではないかと心配な人もいるかもしれません。しかし法律上は、面談を申し出たことによる不利益な取り扱い、面接指導の結果を理由とした解雇や退職勧奨、不当な動機による配転など、法令に反する措置をとることを禁止しています。

 また、医師が会社にアドバイスをする際にも必要最低限の情報に限るという規定があり、会社が医師の意見と著しく異なる就業上の措置(労働者の不利となるもの)をとることも禁止しています。

 会社としてはこのような点を踏まえ、過剰に反応せず何が問題でどうしたら解決するかという問題解決にフォーカスして対応することが必要です。そのためには保健スタッフや外部の業者との連携はもちろん、人事部門や管理職が本制度への理解を深め、いざ要対応者が出た場合の流れをきちんと定めておくことが必要でしょう。

 労働者のストレスの多くは職場で発生することから、その解決のためには職場と連携する必要があります。一方で労働者のプライバシーの問題やストレスチェックの内容が不利益取り扱いにつながりかねないという懸念が強く、そうした点が払拭できなければ制度は形骸化してしまいます。

 制度を実効的にするには、会社側としてきちんとした体制を整えて、安心して従業員に利用してもらえるように丁寧な説明が必要となります。法律施行まで9カ月弱です。検討未着手の人事部門はそろそろ産業医やメンタルヘルス事業者などとも連絡を取り合い、進めていく必要がありそうです。

著者プロフィール:神谷学(かみや・まなぶ)

アドバンテッジリスクマネジメント 取締役 常務執行役員

東京大学法学部卒業、文部省(現文部科学省)入省。2001年にアドバンテッジリスクマネジメント入社。経営企画を中心に、メンタルヘルスケアや就業障がい者支援などの分野で現在の事業の柱を作る。


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