相手の立場でブレスト――「コスプレチャット」の開発者に聞く:創造する人々(3/3 ページ)
相手の立場で話ができれば、話し合いはもっと効果的になるかも――。そんな機能を実装する創造的なチャットシステムの開発者を取材した。
就職活動で耳にした「お客様の立場になって」
開発に携わった大学院生の王さんは「従来のオンライン会議の仕組みよりも、もっと幅広い視点からの意見を集める会議システムを考えていた」という。当初は会議の手法を研究し、もっと硬いやり方を想定したとのこと。
それが突然「押し付け機能」などのアイデアが出てきて、このシステムが一気に形になったという。振り返って思い出してもらうと、王さんが就職活動で耳にした「お客様の立場になって」というセリフが着想を芽生えさせた模様。日々の生活の何が研究の発想を広がらせるかは分からないものである。
システムは簡単だが……
今回のケースは、前回や前々回とは異なり、システムを創りだすことに大きな技術課題はなかったという。もっとも頭を使ったのは「押し付けるという機能のアイデアを思いつくところ」であった。
ITシステムにおいては、既存の技術で十分に新しいことができる、ということが興味深い。人間の認知特性を理解して、引き出すための仕掛けは、ITの先端技術を必要とするものばかりではない。
なお、現在は大学の研究室、いわゆるラボベースでのシステムだ。今後、商用化に向けてパートナー企業が登場するかもしれないが、こうした実用化の際に具現化の壁が登場するかもしれない。
「創造活動のためのユニバーサル・メディアの研究開発」がテーマの西本研究室。各人の無線タグと学内ブログが連動し、雑談コーナーにいる2人の雑談が促進される情報表示板があったりしてとても興味深い。「収束よりも発散的な議論が好き」(西本教授)。今後の研究にも注目だ。
著者紹介 IDEAPLANT(あいであぷらんと)
アイデアプラントは「アイデア創出の組織」です。情熱と創造性の価値を重要だと考える人々によって構成。やわらかい感性によって、目に見えにくいものを真正面から捉えます。Webサイトはこちら。
関連記事
- ポメラみたいにカバンに――職人が作った折りたたみギター
創造をする人々が創る製品やビジネス。その「アイデアの起源」「アイデア具現化の壁」についてフォーカスして、アイデアマンの実際に学びたい。第2回目は、折りたたみギター職人を取材した。 - 脳波で念力ゲーム――シリコンバレーの起業アイデア
創造する人々の製品やビジネス。そうしたアイデアパーソンの実際に学びたい――。「アイデアの起源」「アイデア具現化の壁」についてフォーカスする新連載「創造する人々」。第1回目は、最先端技術が商業化していく土地、シリコンバレーのベンチャーを取材した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.