ふたたび“遊び人”の時代へ――労働価値観が変革する今だから読みたい『ホモ・ルーデンス』:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
オランダの歴史家ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』で、人間とは本質的に“遊び人”であると見なした。「遊び」は人間の本質的な機能で、“真面目”に人類が生産性を向上させたことで、多くの人にとっては労働が必然でなくなりつつあるという。
オランダの歴史家ホイジンガによれば、「遊び」は人間の本質的な機能であるという。そうした人間観を示すためには彼は本著『ホモ・ルーデンス』を書いた。労働への価値観が変わりつつある現代において、再読するべき1冊だ。
「遊び」とは何か
「非日常性」「無目的」「競争と表現」が遊びの特徴だという。ゲームを考えてみよう。
日常とは異なる空間や時間を設定され、特殊な規則の中でゲームは行われる。ゲームそのものに目的はない。競争と表現によって喜びが得られるものだ。
遊びから真面目になった近代
人間の文化的な営みの大半は、この「遊び」が原因であるという。
裁判、戦争、哲学、芸術――。いずれも限られた空間や時間で執り行い、独特なルールに基づいて実行する。ホイジンガの歴史考察によれば、こうした営みは実行すること自体が目的であったという。人間の活動が合目的になってしまったのは、近代に入ってからだ。経済が社会を動かしているとの勘違いが起こり、真面目な市民的幸福が世界を覆ってしまった。
ふたたび遊び人の時代になるか
“真面目”に人類が生産性を向上させたことで、多くの人にとっては労働が必然でなくなりつつある。ホイジンガは、人間とは本質的に“遊び人”(ホモ・ルーデンス)であると見なした。人生の目標なんて取り下げて、人の根源にあったはずの「遊び」を思い出す時期なのかもしれない。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1200冊超。
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「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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