東電トップはどうするべきだったのか――マネジメントを考える:細島誠彦の経営・人生術
組織図はあるが、組織が存在しない会社は多い。つまり、組織が機能していないということだ。例えば、東京電力のトップは原発についてすべて知り、東京電力とその下請け会社の現場が命を削って行っている処理と同じことをやれなければならないのだろうか――。
組織図はあるが、組織が存在しない会社は多い。つまり、組織が機能していないということだ。マネージャーや部長などという役職には就いていても、マネジメントできていない組織というのは、人が育つこともなく、当然、会社の目標を達成することすらできない。
マネジメントとは何か? 役職をもらっていながら、この基本的な質問に答えることすらできない人も多い。何を求められ、何をなすべきなのか? 考えるべきことは、キリがない。そのポジションでしか気づかないことも多い。「マネジメントできない」ということは、組織において大いなる損失となる。
理想のマネージャーとは?
では、マネージャーとはどうあるべきか?
部下の「足らず」を補う
顧客に対してやらなくてはならない仕事を100とした時、部下がやれるレベルがXだったら、
- 「100−X=自分の仕事」
と心得ている人が真のマネージャーです。
『ザ・プロフェッショナル』(大前研一)より
分かりやすい言葉である。マネージャーが部下と同じことをやっているようでは、その部下はいらないのかもしれない。もしくは、そのマネージャー自身がいらないのかもしれない。会社からみれば、そう思う。コストの無駄である。それは組織ではない。組織ではない以上、マネージャーという肩書きは、ただの名誉職でしかない。
東京電力のトップはどうするべきだったのか
例えば、東京電力のトップは原発についてすべて知り、東京電力とその下請け会社の現場が命を削って行っている処理と同じことをやれなければならないのか?
そんなはずはない。トップよりも、現在原発を必死に処理している現場の方が、圧倒的に原発の知識と能力があるからだ。トップがすべきことは、有能な原発管理者やブレーンをうまく使って、被害を最小限に留めることである。
マネージャーは何のために存在するのか? それはその部下ではできないことをやるからである。部下の「足らず」を補うのだ。
では、マネージャーは部下がやれないことをすべてやれなければならないのか? そうではない。マネージャー自身が能力的に不可能な業務であれば、それができる人間を雇うという判断をし、その人間を使って、使命を果たすのである。
主業務の経験がなくても組織の使命が果たせれば
ドラッカーの『マネジメント』におけるマネジメントの定義を見てみよう。
- 組織に特有の使命、目的を果たすこと
- 仕事を通じて働く人たちを生かすこと
- 社会の問題について貢献すること
これを果たすためにマネージャーという職があり、そのもとに部下がいる。組織はそれを果たすために存在する。
極論で言えば、その組織における主業務について一切経験がなくても、その組織の使命を果たせれば、マネージャーとしては有能なのである。
※この記事は、誠ブログの「面白きこともなき世をオモシロく!細島誠彦の経営・人生術:組織マネジメント×定義×会社目標」と「面白きこともなき世をオモシロく!細島誠彦の経営・人生術:理想のマネージャーとは?」より転載しています。
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