「レコーディングダイエット」がダイエット以外にも役立つ理由:あなたの不安、見積もります
岡田斗司夫さんが提唱する「レコーディングダイエット」。食生活を記録することを重視するダイエット法ですが、「目標達成」のためのエッセンスが詰まっているのではないでしょうか。
岡田斗司夫さんが提唱する「レコーディングダイエット」は、私が考える現状もっとも信頼できるダイエット方法です。私自身はほとんどダイエットをしませんが、ダイエットにはもちろん、他の「目標達成」にも役立つ考え方が満載だからです。
なぜ記録するのか
岡田さんは「記録」を最重要視し、「記録を取るだけでもやせ始める」とのこと。細かく記録するために体重計も50グラム単位のものを買うようにとすすめています。人間は記録がないと、記憶頼りになります。しかし記憶はすぐあいまいになるし、あいまいになるという性質もみな知っていますから、記憶に頼ってダイエットするとすぐ「食べていいのか、食べてはいけないのか?」の判断ができなくなるのです。
こうなると誰もが結果の善し悪しだけで判断を評価するようになります。「太ったから、あの判断は間違っていたのだ」としか考えようがなくなるわけです。しかも「あの判断」すら記憶に頼っているので、実際には「どの判断」のことを悪く思っているのかが分かっていないのです。
食べてからしばらく経過して判断についてあれこれ考えるのは非常に非生産的。理想的には食べる前に「よい判断」と「悪い判断」の違いに気づけるようになるべきです。そのためには絶え間なく記録をつけ「この昼食で500キロカロリー以上食べるのは間違っている」と考えられるべきなのでしょう。
記録は気分が悪くなる?
記録してしまうと、記録内容から逃れられなくなるため「昼食で大食してしまった証拠を突きつけられて気分が悪くなる」と思うかもしれません。それで記録をためらう人がたくさんいるとしも不思議ではありません。
しかしこれは逆です。記録を残しておけば「悪かったのは、あの日の昼食だけ」だということが分かりますが、記録しておかないと「最近の食事の全部」のことをあいまいに悪く思います。記憶は時が経つと漠然とした印象になってしまうので、境界を越えて広がってしまうのです。
「最近の食生活が乱れている」などというあいまいな思考にいたり、あげく「私は意志力が弱い」などと話をどんどん広げてしまいます。もともと「ミス」は極めて限定的なのに、記録しておかないばかりに「責任は主体である自分自身。自分自身の人生はすべて失敗である」ような印象になってしまいかねません。
1万回試してみて1万回とも失敗するという人はまずいないのですから、記録に残しておいた方が気が楽になれる――というわけです。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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