CEOの気持ちは前向きだが……本音を言えないソーシャルメディア:マーケターの失敗録
IBMの調査によると世界のCEOは大分ソーシャルメディアへの期待が高まっているようです。ですが、実際の現場はどうでしょうか。
IBMが最新の調査資料「2012 IBM Global CEO Study(英文)」をリリースしました。64カ国、1700人以上のCEOへ調査したものです。気になったのは、ソーシャルメディアについての項目。「最も利用する顧客接点とは?」という質問で、現在と未来の傾向を質問しています。右の図をご覧ください。
現在、顧客接点の頻度が最も多いのは、面と向かって会話するFace to Face形式で80%。一方、最も低いのはソーシャルメディアの16%でした。しかし、今後3〜5年のうちにソーシャルメディアが57%まで向上するといいます。ようやく世界のCEOたちがソーシャルメディアに期待感を出し始めました(詳細はこちらで登録するとデータを閲覧できます。日本語での概要はこちらが分かりやすいです)。
そんなCEOたちの期待とは裏腹に、ソーシャルメディアには問題もあります。
先日5月18日に新規株式公開(IPO)を果たしたばかりのマーク・ザッカーバーグ氏率いるFacebook絡みの実例を紹介しましょう。
先日、私の友人Aが2週間の海外旅行に出発しました。実にうらやましい話です。楽しい企画を練って、思い出に残る出来事をたくさん経験しました。そして、その出来事を伝えたいと思い、Facebookで共有しようとしました。……が、結局Aは何も共有できませんでした。
なぜか? Aは、学校の同級生、会社同僚、競合他社、家族、名刺交換を1回しただけの人たちなど、公私の区別なくFacebookで活動していたからです。教えたくない人にもプライベートな事柄が伝わってしまう懸念がありました。つまりプライバシーが無防備な状態だったのです。
別の例です。友人Bは、子供の野球クラブの父兄会で関係するある人から「ねえ、Facebookやってる? 今度見つけるからよろしくね〜」と言われました。しかしBにとっては、その人は絶対に友達になりたい人ではありませんでした。だから、Facebookで見つけられないように、本名を変更したのです。言いたいことが言えるネットワークを守るために。
どんどん友達リクエストして、多くの人とつながるという意味では、Facebookは最適なツールです。でも、単純にたくさんの人とつながる、という意味だけでソーシャルメディアの利用価値が高まるわけではありません。
世界のいろんな人とはつながるも、実は今、本音が言えなくなっています。きっと、Facebookからどんどん枝分けれしていくんでしょうね。(瀬戸和信)
※この記事は、誠ブログの「マーケターの失敗録(T_T):本音を言えないソーシャルメディア。」より転載、編集しています。
誠ブログでは、ブログを執筆してくださるブロガーを募集中です。詳細については、「誠ブログとは?」、「FAQ」をご覧下さい。
関連記事
- 数年前にやめたmixiと今のTwitter、Facebookの使い方について考えてみた
今登録している各SNSの使い方を考えてみて、数年前やっていたmixiは今のTwitterとFacebookをくっつけたような感じだったなあと思いました。 - Facebookが嫌いな理由(前編)
日本でもユーザーが増えているFacebook。「便利だと思う一方で、こんなツールはない方がいい、と強く思う」と島田徹さんは言います。なぜFacebookを好きになれないのか? 利用前・利用後の2回に分けて理由を考えます。 - Facebookが嫌いな理由(後編)
「Facebookをビジネスに生かす」「新しい出会いがある」一時期、そう薦める書籍や記事をよく見かけました。実際にFacebookを使うようになった今、島田さんが思うこと、そして「Facebook5大テーマ」とは? - 急伸するソーシャルゲーム市場
コンプガチャ問題で揺れるソーシャルゲーム業界。Business Media 誠では、まつもとあつし氏の新著『ソーシャルゲームのすごい仕組み』の第1章を転載し、その歴史を改めて振り返る。 - 5カ月使ってみて分かった「LINE」の本当に好きなところ
この4月に世界累計ダウンロード数3000万を突破した無料メッセージングアプリ「LINE」。数カ月使ってみて、自分なりになぜはまっているのか、そしてもっとこんな機能があればいいのになあというポイントを挙げてみました。 - 「社員がTwitterで暴露」をどう防ぐ? ルール違反者に見られる5つの傾向
ガイドラインは利用する人たちに正しく理解され、守ってもらえなければ意味はない。最終回は、作成したガイドラインが各社員を管理できる運用状態にあるかを確認できるチェックリストを用意した。 - ソーシャルメディア女子のポジショニング――データから見るペルソナ図鑑
これまで「Facebook女子」「mixi女子」「GREE女子」「mobage女子」「Twitter女子」と、5つのソーシャルメディアの女性ユーザーについて、アンケートデータから分析してきました。今回はそれら5つを相対的に比較分析します。