ほぼ日手帳は“寿司”――英語版「Hobonichi Planner」に掛ける糸井重里氏の意気込みとは:手帳2013(2/2 ページ)
先日発表になった「ほぼ日手帳」の2013年版。今回はほぼ日手帳を作った糸井重里氏本人に話を聞いた。糸井氏いわく「ほぼ日手帳は寿司」というがその真意は……。
手帳を使いこなせなかったから、ほぼ日手帳が生まれた
ほぼ日手帳というベストセラーの手帳を作り出した糸井氏。だが、これまでに何種類もの手帳を使ってきては、いつも途中で使うのを辞めてしまっていた。
「(手帳は)自分を縛るために買っていました。手帳を持つということは“うるさい秘書”を雇うような感覚なのです。しかし、そういう感覚だと常に管理されているだけで、助けてもらっているという思いが生まれない。すると、手帳そのものを愛せないんです。だから、自分が愛せるものを作ろうと考えました」
笑いながら糸井氏はこう続ける。
「情報を集める場所は一本化しないといけません。手帳やメモなどを何冊も使っていたら(一本化の)意味がないですよね。そこでまずは、手帳に広いスペースを取り入れる。あとは、もう手探りで進めていきました」
1日を1ページとして書くスペースをたくさん用意しているほぼ日手帳。こうして大勢の人たちが愛する“基礎”が完成したのである。
なお、糸井氏おすすめの手帳活用術は「年間スケジュールに“もくじ”を書く」こと。
「辞書や本にだって、索引やもくじってあるでしょ? 『どこに何を書いていたか』が分からなくなるのが一番やっかいなので、各ページのタイトル付けをしてしまうんです。ぜひ実践してみてください。おすすめです!」
IT化は「出会えるシーンを増やす」、“愛着”さえ保てれば手帳はなくならない
最近は、スケジュールやToDoの管理をスマートフォンやPC上で行う人も増えた。こうした進化に伴って、手帳という存在が今後どうなっていくのだろうか。
「私もiPhoneを使っています。便利ではあるんですが、正直に言って愛着がないんですよね。昔、アイロンをかけなくても良いシャツが流行りました。しかしすぐに飽きられてしまい、最後は木綿生地のシャツに戻ったんですよ。やはりそこには木綿に対する愛着があって、機能性や便利さよりもこの“愛着”を人々が優先させた例だと思います」
長く人々に使われるもの――。糸井氏によると「愛着」こそがキーワードだ。身の回りを見てみても、新しいものに流されずに愛着を持って長く使い続けているものがあるという。
「『好き』だから付き合うんです。だからこそ私は『好き』と思われるものじゃないと作りたくありません。iPhoneも手帳も同じ記録“媒体”ですが、私は人間くさく取り組んでいきたいんです。例えば、クオーツ時計はたくさんありますが、それでも手巻きなど機械式の時計を欲しがる人は多いんですよ。手帳だって同じで、いくらITが進化しても愛されるものなんじゃないかな。これは小さいころからPCを使っている世代でも同じ。逆にほぼ日手帳もインターネット販売しているように、愛着を得られる物と出会えるシーンは増えていますから。あまり変わると思いすぎないことも大切なんです」
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