しつこいくらいに繰り返す:トップ3%の人の仕事のルール(2/2 ページ)
普通の人とトップ3%になれる人との違いは、最後までやり遂げられるかどうかに尽きます。面白いアイデアが出ても、それを実行に移してやり遂げられる人と、やり遂げられない人の差は何でしょうか? それは「時間を待てるか、待てないか」です。
繰り返していると、突然飛躍するときが来る
経営を立て直すとき、あるいは新規事業を立ち上げるとき、最低3年はかかると考えることが重要です。
それを理解してもらうために、私は、経営者にしつこいくらい同じことを繰り返し言い続けます。たとえ「それはもう分かったから」と言われようが、意に介しません。繰り返し繰り返し、時間をかけて話すことにしています。
なぜ繰り返すことが重要なのでしょうか。
私は、人間の成長は繰り返し繰り返し行うことの中からしか生まれないと考えています。
しかし、ほとんどの人は仕事ができるようになると慣れてしまいます。慣れてしまうと、簡単だからといって手を抜くようになります。そして、知らないうちに自分のレベルを下げてしまうのです。
ところが、トップ3%の人は、1回1回が大事だということを理解しています。なぜならば、自分にとっては何度も提供している商品やサービスであっても、多くのお客さまにとっては、はじめての商品やサービスだからです。
人間は、まさに自転車に乗りはじめたときのイメージで成長していきます。
例えば、みなさんがはじめて自転車に乗れたときのことを思い出してください。坂道なんて怖くて乗れませんから、はじめは平らなところで練習します。
それでも、なかなか上手にバランスを保つことができないで、ちょっと進んだだけですぐに転んでしまいます。あるいは、すぐに地面に足をつけてしまいます。でも、不思議なことに、あるとき急に乗れるようになります。それまで乗れなかったことがウソのように思えます。
これが人間の成長です。
コツコツ練習していると、「乗れない」から「乗れる」の状態に、突然飛躍するのです。ときには、その人の人格まで変えてしまいます。この成長を支えているのが、繰り返し、繰り返し行うことなのです。
「才能は幼児からの育て方で決まる」という考え方で、多くの演奏家を育てた「スズキ・メソード」。これを確立したヴァイオリン教育指導者の鈴木鎮一(しんいち)さんは、「心を込めて繰り返す」ことの必要性を、折あるごとに説いていました。
ヴァイオリンの腕を上げるには、その基本となる練習曲を何百回と繰り返し練習しなければいけないそうです。練習曲がうまく弾けるようになると、それでは飽き足らなくなり、バッハやモーツァルトなどが作曲した有名な曲に挑戦したくなります。
しかし、それは何度も繰り返し練習して、練習曲をマスターしてからの話なのです。単純な練習曲を繰り返しているうちに、ふっと階段を一段上がるのでしょう。技術が飛躍的に伸びるのです。
どんな世界のプロでも、そうやって自分の才能を一歩一歩伸ばしていくのです。
ACTION
1つのことを毎日のように繰り返し続けよう
(次回は「ご無沙汰している人に連絡する」について)
著者プロフィール:
石原明(いしはら・あきら)
日本経営教育研究所代表、僖績経営理舎株式会社代表取締役。ヤマハ発動機(株)を経て、外資系教育会社代理店に入社。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立、経営コンサルタントとして独立。現在、中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている
主な著書に『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(中経出版)、『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(サンマーク出版)などがある。
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