安易な転職はしない:選ばれ続けるリーダーの条件(3/3 ページ)
ビジネスパーソンにとって、初めて入った会社は仕事をイチから教えてくれた恩人です。その会社を辞めるのは、裏切りに他なりません。人間関係もそれまでと一緒というわけにはいきません。転職は、それほど大きな喪失を決意してまで実現したいことがあるときに限るべきなのです。
外資系への幻想は早めに捨てるべき
外資系に幻想を持っているのか、外資系企業から声をかけられるとすぐ心が動いてしまう人がいますが、これも危険です。
そもそも「外資系」に明確な定義はありません。「一定以上の株式を外国法人または外国人が持っている」というだけのことです。一般的な認識では51%以上の株、さらに経産省の定義では3分の1以上で条件を満たします。昨今、日本企業でも外国人の持ち株比率が高まっていますから、その意味では大きな変わりはないということです。
また、外資系というと欧米に本社がある企業を思い浮かべるかもしれませんが、現在、外資系の3割はアジア系だといわれています。
日本市場がシュリンクしているなか、世界の企業は中国やインドを重視しています。日本は、一営業所にすぎないという位置付けです。その日本で採用されるのが優秀な人材かどうかは、考える価値があると思います。
転職するなら、「この会社でこのような仕事をしたい」という部分を明確にしておくこと。そして、マネジャーでもプロジェクトのリーダーでもいいので、部下を持ち、育てた経験をしてから辞めることが絶対です。部下を持った経験のない人間にいきなり部下を持たせることは、まともな会社ならまずありません。転職したら、1年目からやり直しです。
ですから、3年経って辞めたくなっても、7〜10年我慢してからでないと本当の転職はできないということです。
それ以前に今の会社を辞めて、不義理をしてまで別の会社でやりたいことがあるかどうか。このことを、しっかりと考えてから行動してください。
著者プロフィール:
山元賢治(やまもと・けんじ)
1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。2004年にスティーブ・ジョブズに指名され、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任し、現在、(株)コミュニカ代表取締役。(株)Plan・Do・See、(株)エスキュービズム、(株)F.A.N、(株)マジックハット、グローバル・ブレイン(株)の顧問を務める。私塾「山元塾」を開講。
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