ゼンリンとゼンリンデータコムは2月16日、法人向けGIS(地理情報システム)アプリケーションソフト「OA-Light III」の発表会を行った。同社のGIS事業について説明するとともに、携帯電話を利用した歩行者用ナビゲーションや、法人向けに携帯への地図データ配信サービスを予定していることを明らかにした。
街や道路の情報は刻々と変わるため、常に最新のデータを盛り込んでいなくては、地図の価値は半減する。ゼンリンでは年間約27万人の調査員によって地図のメンテナンスを行っているという。かつて住宅地図、道路地図は紙に印刷されたものしかなかったが、現在はデータベース化されてさまざまな分野のシステムで利用されている。たとえばカーナビの地図データは道路地図データベースが利用されているし、消防や警察といった公共機関のシステムや、宅配業者の集配システムは住所地図を元に作ったものだ。「とくに公共機関への導入は実績があり、独占に近い状態」(ゼンリン)。
地図データの将来的な使い方として、同社ではいくつかの取り組みをしている。その一つが携帯電話を利用した歩行者ナビであり、地図データの配信システムである。
同社の歩行者用ナビゲーションは、車道でなく、歩道を優先するのが最大の特徴。駅や建物の中の通路、地下通路、狭い路地や歩道橋などもナビゲーションする。
デモでは、東京駅の丸の内側から八重洲側へ移動する場合に駅の構内にある道を示す例や、車両が通れない上野公園の中をナビゲーションする例が示されていた。
地下商店街や地下鉄構内の通路など、時間によって通れないルートの場合は、検索した時間を考慮して通れる道しか表示しない。またカーナビのように、複数のルートを検索するようにもできる。
2005年秋をめどにサービス開始予定。ただし現在、どのキャリアと組んでサービスを提供するかは未定だという。
ゼンリンでは住宅地図データをPCに配信するサービスを法人向けに行っている。配信される地図はベクトルデータで、この地図データの上に顧客情報などのレイヤーを重ねて利用できるシステムが広く利用されている。
同様のことをBREWアプリに対応した携帯電話で行うデモが披露されていた。ベクトルデータの住宅地図をダウンロードし、顧客情報データを重ねて表示したり、ビル内の付加情報を閲覧したり、といったことが、携帯電話から可能になる。
住宅地図はデータ量が大きいため、PCに比べて非力な携帯電話でこのような操作を行うのは難しかったという。今回は「携帯電話でも、PC用のデータ配信と同じデータサーバを使っている。携帯電話でも扱えるようにデータの不要な部分を間引いている」(ゼンリン)。
データ量の目安は、住宅地図の2分の1ページ分相当で、100Kバイト程度(都心部など、情報量の多いページの場合)。サービス開始は来期中を予定しているという。
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