7月7日、ウィルコムがPHSのコアユニットをモジュール化した「W-SIM」(ウィルコムシム)を発表。「WILLCOMコアモジュール」構想を明らかにした。(7月7日の記事参照)。
WILLCOMコアモジュール構想は、これまでジャケットフォン構想と呼ばれていた、ユニークかつ合理的な提案だ(3月16日の記事参照)。課題はあるが、成功すれば携帯電話・PHS市場に与えるインパクトは小さくない。特に筆者が注目するのは、携帯電話普及率が上がり、マス市場に飽和・過当競争が生まれる中で、どれだけ周辺市場を広げられるかだ。
周辺市場の中でも、個々の市場ボリュームは小さくとも、市場全体の規模が大きそうなのが、法人向けの特殊端末だ。代表的なのは、宅配事業者向けのハンディターミナルやGPS内蔵デジタルカメラ、MR(Medical Representative:医薬情報担当者)などフィールドワーカーむけにカスタマイズされた特殊なPDAやPCなどである。また、ウィルコムのサービスエリアに信頼性が得られれば、建設機械や商用車向けのテレマティクス、タクシーの電子決済用ネットワークインフラなど、車両向け市場も有望だろう。
一方、コンシューマー向けでは、これまでの携帯電話とまったく異なるコンセプトの端末がどれだけ出るかが重要だ。よく例としてあげられるのが、子ども向けのゲーム機型端末やおもちゃへの通信機能搭載、お年寄り向けのシンプル路線端末だが、筆者は女性層もアプローチできる領域が広いと考えている。
このように期待が膨らむジャケットフォンだが、このコンセプトを活性化させるには、W-SIMの価格をどれだけ抑えられるかが鍵になる。記者会見では「1万円を超えることはなさそう」(八剱氏)というコメントがあったが、この予想上限価格は高すぎる。法人市場まで視野に入れるならば、W-SIMの価格は5千円以下に抑える必要があるだろう。
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