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» 2005年08月03日 21時43分 公開

転換期にきた欧州モバイルコンテンツ市場──現状と課題(2/2 ページ)

[末岡洋子,ITmedia]
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 例えば我々は現在、動画コンテンツを使いやすいものにするために“アバター”を開発しています。テキスト読み上げ技術を利用したもので、送る側が動画ファイルを送る際にメッセージを入力すると、受け取った側では、アバターがそのテキストを読み上げてくれるのです。送信側は、アバターを選ぶことで自分の感情も表現でき、新たな方法でのコミュニケーションが可能になります。

 アバターが自分の代わりにメッセージを伝えてくれる(左)。エミネムの動画クリップ付きメッセージ(右)

 また、バイラル(口コミ)マーケティングのためツールも考えられます。コンサートの主催者が、あるアーティストのコンサートチケット購入者を対象に、アーティストの音楽クリップ付きメッセージを友人に送信できるサービスを提供する──といった使い方もできるでしょう。例えばエミネムのコンサート情報を友人に知らせることができるアバターなどの動画ファイル用メッセージは、携帯電話だけではなく、PCのWebサイトから入力することもできます。

相互接続性の不備がMMSの普及を阻む

 MMSは一部の例外はあるものの、大成功したとはいえません。コストとビジネスモデルが適正でないことと、技術面の問題が理由です。技術の大きな問題は、送受信がうまくいかないことです。主として端末側の問題ですが、複雑すぎるのでユーザーはなかなか自分自身で設定できません。

 SMSはほぼすべての端末がサポートしていますが、MMSの場合は相手がこの機能をサポートしているかどうかが分かりません。そのため結局、SMSで済ませてしまうという場合が大半です。コンテンツプロバイダもしかりで、サービスのベースとなる技術には、引き続きSMSが選ばれています。オペレーターはMMSを推進していますが、コンテンツプロバイダが前向きではないというのが現状です。

欧州コンテンツビジネスの課題

ITmedia 欧州市場が今後どのように推移すると思いますか? 欧州のオペレーター各社もポータルを積極的に展開していますが、日本のようなモデルに変わってくるのでしょうか?

ボーンスタイン氏 欧州市場は、携帯電話の普及率が高く、3Gサービスも本格化し始めており、興味深い時期にあると思います。現在、オペレーターのARPUのうちデータ通信はわずか8〜10%を占めるに過ぎず、このうちの90%は友人間のSMSです。

 付加価値サービスは、日本と違って端末メーカーやオペレーター、コンテンツプロバイダ間の関係が複雑なため時間がかかるとは思いますが、データ通信時代が到来しつつあるのは確かです。先にも触れたとおり、モバイルインターネットがコンテンツにアクセスする方法として定着し始めており、各社は現在、魅力的なコンテンツは何か、サービスをどう提供するか、適正な価格はどこか、などを模索している段階です。日本のように、コンテンツがコモディティ化し、無償になるケースも増えるでしょう。

 コンテンツの種類という意味では、3Gがどのようなインパクトを与えるのかが注目されます。Javaゲームは大きなチャンスですが、価格が適正でなければなりません。情報や電子メール、スケジュール帳などの生活支援系サービスや企業向けサービスなどは、これから大きく成長する分野と見られていますし、FeliCaのような支払いサービスも登場するでしょう。また、こうした機能がユーザーにとって使いやすいUIで提供され、かつ安全に使える環境を用意する必要があります。

 欧州市場は非常に細分化された市場で、市場構造が日本のようになるとは思えません。欧州連合(EU)25カ国には言語が15種類あり、著作権法もそれぞれ異なります。オペレーターは80以上あり、我々は常時400機種以上の端末を検査しています。欧州市場では、オペレーターと端末ベンダーはどちらかというと競合関係にあります。

 英Vodafone、仏Orange、独T-Mobileは、「世界に○○人のユーザー」などといっていますが、各国市場で同じ名前をつけていても、各国のルールは違い、提携パートナーが名前を担いでいるだけのこともあります。実際、これら大手オペレーターは、本国とそれ以外の国でそれほど協調関係が取れているわけではありません。日本でのVodafoneがいい例です。

 それに加えて、コンテンツプロバイダと収益をシェアして(=コミッションを低くして)市場を成熟させようという姿勢は日本ほど強くありません。一方の端末ベンダーもNokiaは引き続き最大手ですが、欧州市場では日本や韓国の端末ベンダーの進出が目覚しく、成功しています。Nokiaのリーダーシップは以前ほどではないという状態です。

 こうした複雑な市場を簡素化するため、各種の取り組みが行われていますが、例えば支払いに対して単一のルールを設けようと発足したSIMpayも、数週間前に解散しました。欧州では、各国が現地のルールを維持したいと思っており、1つのルールや方式、戦略を全員が受け入れるようなことは、なかなか起こらないでしょう。このような理由から、欧州と米国のモバイル市場にはサードパーティが不可欠なのです。

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