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2005/09/16 14:05 更新

BREW最新事情:
SOAP+salesforce.comがBREWで実現できた理由 (2/3)


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salesforce.comが携帯電話に載ることの意義

 ポイントは、携帯とASPサーバの「直接通信モデル」を実現したことにある。つまり、ゲートウェイ(中継サーバ)抜きモデルが可能になっている。これまで、携帯電話とWebサービスサーバを接続するシステムでは、中継サーバを用いるゲートウェイモデルを取ってきた。機能の単純な単独のWebサーバであれば、HTTPプロトコルさえ動作すればよいが、複数のWebサービスをつなぎ合わせて実現する大規模なサービスでは、そうはいかない。このような分散オブジェクトモデルで用いられるのがSOAP(Simple Object Access Protocol)である。

 SOAPはネットワーク経由でオブジェクト間の通信を行うプロトコルである。このようなプロトコルとしては、CORBA、DCOMなども知られているが、SOAPには「軽量」という特徴があり、言語やプラットフォームに依存しないことから、機能の遠隔呼び出し(リモートコール)の手順を定める事実上の標準となっている。SOAPを記述するSOAP/XMLにより通信を標準化することによって、既存の情報資産の有効活用ができるのだ。

 しかし、JavaやWebブラウザなどを使ったこれまでの携帯アプリではSOAPサーバとの直接通信が不可能だったため、途中にサービス提供会社がゲートウェイを構築し、中継させなくてはならなかった。しかし、ゲートウェイの設置と維持のコストは大きく、ユーザーが増加すればゲートウェイもしなくてはならないので、導入にかかる期間も非常に長くなってしまう。

 これを解決したのが、BREWの特徴である通信プロトコル対応の自由の高さだった。KDDIの協力を得て、BREWで動作するSOAP/XMLベースのミドルウェアを開発したのが、札幌のベンチャー企業テクノフェイスだった(プレスリリース)。このミドルウェアによって、携帯とASPサーバの直接通信が可能になったのである。

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salesforce.com Mobile Edition for auでは、携帯端末とASPサーバとの間で直接通信するため、BREWで動作するSOAP/XMLベースのミドルウェア「SOAP XML Middleware on BREW」を使っている

携帯電話との連携を求めた顧客は70%以上

 salesforce.com Mobile Edition for auの企画は、2004年の5月に、KDDIがセールスフォース・ドットコムへアプローチしたことから始まった。つまりアプローチから技術的検討、システムの開発、業務提携のニュースリリースまで約1年で完成したことになる。

 2004年当時、セールスフォース・ドットコムは顧客からの携帯電話対応を求める声を受け、携帯Javaでの開発も含めて、検討を開始していたという。同社が2004年12月にsalesforce.comユーザーへ行った調査結果によると、携帯電話と連携を希望する顧客が70%以上いたという。

 Javaにするか、BREWにするか。KDDIは、携帯が圏外のときでも通常の操作ができる快適さや、センタープッシュによるデータ消去が可能なセキュリティ機能などを挙げ、ユーザビリティの高さを訴えた。しかしセールスフォースドットコムが最も重視したのは「ユーザービリティの高さの実現と、当社の持つ複数のサーバとの同時かつ直接の通信」(セールスフォースドットコム榎氏)だった。

 BREWを使った場合、「複数のサーバとの同時通信」については有利だが、「複数のサーバと直接通信」は難しい。BREWビジネスソリューションの柱として、KDDIのモバイルソリューション商品開発本部が推進しているBBPではゲートウェイモデルが採用されていたためである。BBPはBREW Business Profileの略で、KDDIと日本IBMが共同開発したBREWミドルウェアサービスだ。

 salesforce.comをau携帯に対応させるためには、BREWで動作するSOAP/XMLベースのミドルウェアを、短期間で構築できるパートナーが必要になる。悩むKDDIに対して、SOAP/XMLに明るい企業であるテクノフェイスを紹介したのは、セールスフォースドットコム社長の宇陀栄次氏だったという。

 テクノフェイスは、北海道大学、北海道中小企業総合センターおよび北海道内のIT企業等の出資により2002年4月に設立されたばかりの新興企業で、ミドルウェア「OpenSOAP」の開発・販売で知られる。BREWアプリおよびミドルウェアの開発をテクノフェイスが請け負い、同社が独自に開発したXMLライブラリをBREW向けにC言語APIとして移植した。同時に、BREWアプリ領域を圧迫しないようなミドルウェアの軽量化や、処理の高速化のためのチューニングも行なわれた。

今後対応機種も増える予定

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[平野正喜,ITmedia]

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