コベルコ建機と童夢に見る、モバイル活用の2つの鍵第4回(2/2 ページ)

» 2005年09月28日 19時06分 公開
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事例2 開発の速度を大幅アップ。童夢の場合

 1978年発表のカスタムスポーツカー「DOME ZERO」で世の中を驚かせた童夢。その後、一貫して日本のモータースポーツに関わり、自社開発のレーシングカーを次々に送り出してきた。レーシングカー・コンストラクター“童夢”の名は、モータースポーツファンなら誰もがその名を心に刻んでいるはずだ。現在もSuper-GT選手権におけるNSXベースのレーシングカー開発、ル・マン24時間耐久レースへの参戦とそのベースとなっているS101レーシングカーの開発・販売。さらに全日本F3選手権では、複数の参加チームにオリジナルレーシングカーを供給するなど、オリジナリティ溢れる活動を継続的に行っている。

レーシングカーの開発および製造、レースのオペレーションを行う童夢。導入台数を増やして利便性を高められれば、グループウェアに限らず、さまざまなアプリケーションをサーキットから利用するアイデアも膨らんでくるだろうと、VCCの真価に期待しているという

 こうしたレーシング・コンストラクターにとって重要なのは、限られたコストの中でいかに最大限の効率と速度で開発を進められるかという点であろう。レーシングカーの開発において、CAD上でのシミュレーションや風洞実験などから得られるデータも重要だ。しかし、それだけでは完結しない。最も重要なことは、実際のサーキット走行から得られる生きた情報である。データの収集はテスト走行だけでなく、レース期間中にも行われる。

童夢の林みのる社長
総務部マネージャーの江口亮氏

 童夢の場合、メールの送受信や宿泊手配・変更、各種業務手続きなどはノートPCに携帯電話やPHSを接続することで、また電子メール以外の連絡は、すべてFAXを通じた書面でのやりとりが利用されていた。これらの各種業務も通信速度に起因する業務効率の悪さなど大きな不満を抱えていたが、最も大きな問題はレース中あるいはテストによって得られた膨大なエンジニアリングデータの送信手段がなかったことだ。

 現在はごく一部のサーキットで、無線LANによるインターネットアクセスサービスが提供されているが、多くの場合、サーキットからの高速な通信手段はない。このため、滞在先のホテルに戻ってから送信するケースがほとんどだったという。

 エンジニアリングデータの分析は時間が勝負という側面がある。いち早く有用なデータが本社の開発チームに渡れば、そこで細かなデータの分析を行い、レースやテストにおけるセッティングにも反映できる。また開発の速度も向上する。

 そこで童夢では、高速かつサーキットからも利用可能な広域の無線通信手段について模索。2004年3月に他社との比較検討を行った上で、通信コストとパフォーマンスのバランスに優れたVCCを導入することを決定した。

 導入の効果はすぐに現れた。エンジニアリングデータは収集したその場で本社や技術パートナー企業へと送信。通信速度の高速化により、エンジニアの貴重な時間を有効に活用可能となり、開発作業の効率化が図られた。加えてメールサーバやグループウェアへのアクセスも実用的になった上、チームのアシスタント業務もスムーズに行えるようになり、目に見えて効率がアップしたという。

 その上、通信料金も月額基本使用料内でほぼまかなえる。レーススケジュールが混み合う月には月額基本使用料内で収まらず、トータルで月5万円程度まで使用するケースもあったようだが、先日行われたデータバリューパックスーパーの無料通信パケット数増加に伴い、その金額も大幅に削減できることだろう(8月19日の記事参照)

鍵はコストとパフォーマンスの両立

 コベルコ建機と童夢。全く異なる事業内容の両社だが、VCCを選択したポイントは同じ。選択の鍵はコストとパフォーマンスの両立にある。

 ITシステムは、活用し利便性が上がるほどにデータ量が増加するものだ。単純にデータサイズが大きくなるというだけでなく、利用価値が高いほどユーザー自身がITシステムを使いこなそうとするからだ。

 しかし広域の無線通信には2つの壁がある。

 1つは速度。速度が遅すぎると本来送受信すべきデータを通すことができず、利便性も下がり、ユーザーの利用頻度も限られてくる。まずは業務を遂行するに十分なパフォーマンスがあることが大前提だ。その点、VCCは実効でも300Kbps近い速度を発揮するため、PHSなど既存のデータ通信手段に対する大きなアドバンテージがある。

 もう1つはコストだ。従来のパケット通信は非常に高価だった。例えば速度だけであれば、他社にも高速なサービスも存在するが、データ通信量あたりの料金も高額となる。高速になることのメリットが大量のデータ通信にあるというのに、通信量あたりの料金が高くなり過ぎてしまっては、思う存分に活用できない。データバリューパックスーパーの約427.2Mバイト分という無料通信分は、業務における大量のデータ通信にも対応できるはずだ。

 この2つの壁に対してどのようなソリューションを用意しているのか。いずれか片方だけが優れているだけでは、目的は達成することはできない。VCCがコストとパフォーマンスのバランスに優れた通信手段と言われる所以はそこにある。

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提供:ボーダフォン株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年10月16日