FOMA 902iの新機能「トルカ」を解剖する特集:FeliCa携帯、本格始動(2/2 ページ)

» 2005年11月07日 05時27分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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三者間通信機能対応のリーダー/ライターなら追加投資は不要

 電子マネー、会員証などおサイフケータイを利用したソリューションはこれまでにもいろいろ提供されているが、たくさんの店舗を持つフランチャイズチェーンや、ある地域全体での導入など、ある程度大規模な企業でないと導入は難しかった。サービス事業者側から見たとき、トルカの最も大きいメリットは「導入がしやすい」という点にある。

 トルカサービスを提供する場合、サービス事業者がとれる方法は主に「Webでトルカを配布する」「店頭のリーダー/ライターでトルカを配布する」の2つになる。

 Webでトルカを配布する場合は、上述の通りにトルカ対応のHTMLを書き、iモードでアクセスできるWebサーバにアップロードしておけばいい。店頭のリーダー/ライターで配布する場合にも、安価なコストで導入できる。トルカ送信機能に特化した専用の端末「VF-100」が、ブイシンクから12月を目処に発売される予定で、価格は4万円程度になる見込みだ。

FOMA 902iシリーズの発表会場で展示されていたVF-100の試作機。コンパクトフラッシュを内蔵しており、そこに書き込んでおいたトルカデータを送信できる

 トルカはモバイルFeliCaの標準機能である三者間通信を利用しているため、三者間通信機能に対応した(=ポーリングコマンドを持っている)リーダー/ライターであれば、そのままトルカの送信に利用でき、この場合は追加投資はかからない。

 例えば、PC用のリーダー/ライター「PaSoRi(パソリ)」は三者間通信機能に対応しているので、トルカの送信が可能だ。またNTTドコモによれば「FeliCaのリーダー/ライターのうち、新しいものであれば三者間通信機能に対応しているものが多い。例えばコンビニで導入しているEdy用リーダー/ライターであれば、ごく初期のものを除いてポーリングコマンドを持っているので、そのままトルカの送信が可能」という。

 Edyなどの電子マネー決済とも連動できる点もポイントだ。すでにEdyを導入しており、三者間通信に対応したリーダー/ライターを利用している店舗であれば、レジでEdyを使ってお金を払う顧客に対し、同時にクーポンやチラシなどをトルカで送信できる。

おサイフケータイ史上、最も導入が簡単なサービス

 ここまで見てきたようにトルカには、ユーザーにとっては「iアプリのインストールが不要」「メール添付や赤外線で友達に簡単に渡せる」というメリットが、サービス事業者にとっては「専用iアプリの提供が不要」「データ作成が簡単」「リーダー/ライターを安価に導入できる」というメリットがある。ユーザーにとっても、サービス事業者にとっても、おサイフケータイ史上最も導入が簡単なサービスといえるのだ。

 これまでにも類似するサービスとして、東京・裏原宿の活性化に導入された「TOWNPOCKET」(8月3日の記事参照)があったが、利用するには事前に専用iアプリをインストールしておかなくてはならず、そこがネックになっていた。TOWNPOCKETでは、アプリがインストールされていない状態でリーダー/ライターにかざしても何も起きないため、QRコードでダウンロードサイトへ誘導するという方法をとっていた。これに比べると、iアプリのインストールも初期設定も不要なトルカは、ユーザーにとってのハードルが非常に低い。

 導入が簡単ということもあり、902iシリーズ発売に合わせて、多様なサービスが提供される予定だ(FOMA 902iシリーズ対応トルカサービス一覧、PDF)

 例えばヨドバシカメラは、クーポンやチラシをトルカで配布予定だ。Webとリアル店舗と両方で展開が簡単なため、Webサイトでトルカを配布してリアル店舗へ、店舗のリーダー/ライターで配布したトルカからWebへと顧客を誘導する利用方法を考えているという。

 電子チラシやクーポンといった使い方のほか、カードに似ているデザインを生かして、ゲームセンターでトレーディングカードのように利用したり、料理サイトでレシピカードを配布したりといった使い方も予定されている。

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