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2005/11/16 01:22 更新


苦節5年でここまで進化〜インテリシンクとSyncML

“PCと携帯/PDAのデータを同期する”――データシンクというとこのようなイメージを持つ人が多いかもしれない。しかし現在のシンク技術は、デバイス管理やソフトウェアアップデートなど、様々な分野で生かされている。インテリシンク社長の荒井真成氏が、SyncMLの現状や今後の方向性について話した。

 インテリシンクは11月15日、データシンクロのための標準プロトコル「SyncML」に関する報道関係者向けの説明会を開催した。SyncMLの現状や今後の方向性について、インテリシンク 代表取締役社長 荒井真成氏が説明した。

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インテリシンク 代表取締役社長 荒井真成氏

 インテリシンクは、グループウェアとPDAを同期させるコンシューマ向けの製品が有名な企業。ただし、日本市場ではほとんどが法人向けの売り上げが占め、「Intellisync SyncML Server」や「Intellisync Mobile Suite」(IMS)が中心だという。荒井氏は、「すでにNTTドコモのM1000やボーダフォンの702NKIIにはSyncMLが搭載されている。来年以降、このほかの携帯電話にも搭載され、コンシューマ系ビジネスも拡大していくだろう」と語った。

 SyncMLは、IBMやノキア、モトローラ、スターフィッシュなど8社が中心となって1999年に設立された標準化団体によって策定された標準プロトコル。現在までに、欧州を中心に2億5000万台のデバイスに採用されている。欧州のボーダフォンなどは、SyncML搭載を必要条件にしている。荒井氏によると、「策定作業は、ほとんどがメーリングリスト上で行われているが、3カ月に1度くらいのペースで世界中で会合が開かれており、当社の技術者も参加して策定作業を進めている。米インテリシンクはSyncML策定作業を中心的に活動したスターフィッシュを買収したので、中心的な位置を占めている」とした。

 現在流通している携帯電話に搭載されている主なバージョンは「1.12」で、来年以降次バージョンの「1.2」搭載機種が登場するという。また、バージョン「2.0」に関しても標準化団体によって話し合いが始まったという。荒井氏は、「次バージョンの1.2では、シンクロ中に通信が切れてしまった場合のレジューム機能を搭載するほか、サーバからクライアントにプッシュ形式でアップデートを行えるようにした点が大きい」と説明した。

 SyncMLはサーバとクライアントに導入し、両者間で無線通信(携帯電話の通信網や赤外線通信、Bluetoothなど)を用いてシンクロする。主に無線向けの技術だが、有線でのシンクロも可能。シンクロする内容は、アドレス帳やカレンダー、ToDo、メモ、電子メールなどが可能。荒井氏は、「シンクロする際に、差分を調査して配信する『シンクロ用エンジン』がキモだ。当社は古くからSyncMLにかかわっているため、このエンジンの技術が優れていると自負している」と自信を見せた。

 欧州を中心としてすでに多くの端末に搭載されているSyncMLだが、「ビジネスのサービスとして成功したケースは1つもない」(荒井氏)という。その原因として、SyncMLを最初に利用する際に端末側で接続サーバやIDなどの詳細な設定をしなければならず、これがわずらわしいことが障壁となっていたという。現在では、端末側の設定などをベンダ側に送信し、自動的にそれに合わせた設定をプッシュ配信することで手間を省く試みなども検討されているという。荒井氏は、「将来的に、携帯電話の申し込み時に『SyncMLを利用することに同意する』という欄を設け、同意する利用者はそこにチェックを入れるだけで利用可能になれば、利用者は爆発的に増えるだろう」と語り、期待を寄せた。

 日本では追い風も吹いているという。2005年4月に本格施行された個人情報保護法や、頻発している個人情報漏えい事件などにより、「消費者が情報漏えいの危険性を肌で感じ始めてきた」(荒井氏)と分析。これにより、従来ITリテラシーが高いユーザーやビジネスマンのみが対象だったが、アドレス帳のシンクロなどは一般ユーザーまで対象ユーザーが拡大すると予測している。

 荒井氏は今後の方向性を、「近い将来には、SyncMLに同意したユーザーがOTA(Over The Air)で気付かないうちにアドレス帳などがバックアップされる仕組みが登場するだろう。この技術を逆に応用し、端末を紛失した際にサーバから遠隔でデータを消去したり、紛失した端末からデータを吸い上げて新しい端末に書き写すことなどもできるようになるだろう。現在、BREW用のSyncMLも開発中で、2006年にも登場する見込みだ」と語った。

[大津心,@IT]

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