イー・アクセスは2月8日、役員が参加するプレス向け懇親会を開催した。壇上であいさつした同社会長の千本倖生氏は、「FTTHサービスに取り組むべきでない」とする持論を改めて展開。むしろ今後目を向けるべきは、WiMAXなどのモバイル事業だと話した。
2月7日に発表された同社の2006年3月期第3四半期決算(2005年4月〜12月)からは、同社の事業が好調であることが読み取れる。連結の売上高は455億円で、営業利益が61億7000万円。当期純利益でも32億7000万円を計上し、通期での業績予想を当期純利益で5億円上方修正している。
千本氏は、ADSL事業で着実に成果を上げていることがこの好決算をもたらしているとコメント。また同時に、FTTH事業に手を出さないことがプラスに働いていると話す。
「光(=FTTHサービス)に議論が偏りすぎ。(FTTH推進派である)NTTに、光、光といってまどわされて、狂っている。しかしこれは日本だけだ」。諸外国に目を向けてみると、ブロードバンドサービスとしてはADSL事業者のみが順調にサービス提供している状況であり、イー・アクセスはこうした世界の状況と「歩調を合わせて」事業展開しているという。
同氏は、さらにFTTH事業に進出した通信事業者を引き合いに出しつつ「孫さん(=ソフトバンクの孫正義社長)も小野寺さん(=KDDIの小野寺正社長)も、言っていることがおかしい」と断言。むしろ目を向けるべきは、「WiMAXとか、モバイル」だとして、イー・モバイルを創設して移動体事業に突き進む同社の方針を肯定した。
そのイー・モバイルは、まだサービスを開始していないこともあり現状では売上が立っていない。決算報告書で見ると、第3四半期は営業損益ベースで14.3億円の赤字、当期純損失として17.5億円を計上している。
ただし、千本氏はこの赤字は「健全」なのだと言い切る。
「赤字には、いい赤字と悪い赤字がある。加入者が減って事業が縮小しての赤字なら、これは悪い赤字だ。しかし、戦略投資での赤字は、積極的、前向きな赤字。そこで投資しないで黒字になったなら、これは『悪い黒字』となる。かつて松下幸之助さんが亡くなる前に教えてもらったことがあるが、『千本さん、いい赤字を作らないとダメだよ』ということだった」
同氏は、コアビジネス(ADSL事業)は増収増益だとも重ねて強調。モバイル事業は、あらゆる準備を予定通り進めている段階だとアピールした。
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