ブロードバンドコンテンツポータル「ShowTime」が、ビットワレットが運営する電子マネー「Edy」に対応したと発表した(4月27日の記事参照)。FeliCaポート内蔵PCか、PaSoRi(USB接続のFeliCaリーダー/ライター)を接続したPCがあれば、Edy内蔵のカードやおサイフケータイで決済をすることができる。4月18日にインテルがビットワレットに50億円を出資したこともあり、EdyのPC進出は脚光を浴びることになった(4月26日の記事参照)。
電子マネーの歴史を振り返ると、現在のEdyが置かれた状況はなかなか興味深い。電子マネーが一般に認知されたのは、EdyやSuica電子マネーなど「FeliCa型」登場以後だが、それ以前からWebMoneyやBitCashといった電子マネーが存在していたのだ。これら初期の電子マネーは1990年代後半に登場し、PCインターネット上のデジタルコンテンツ決済や少額決済用途を想定していた。今でもオンラインゲームの決済などでは幅広く使われている。Edyをリアル型電子マネーと定義すれば、WebmoneyやBitCashはネット型電子マネーと言えるだろう。
例えば、ネット型電子マネー大手のWebmoneyではセブンイレブンをはじめとするコンビニエンスストアを中心に4万店舗で料金収納を取り扱っており、利用者数は約300万人(ウェブマネー)だという。特にオンラインゲームの決済では大きな勢力を持っている。
Edyが電子マネーとして優れているのは、まずFeliCaを使うことによる利便性の高さだ。今後、PCにFeliCaリーダーライターが内蔵されるようになれば、他のネット型電子マネーはもちろん、クレジットカードや宅配便の代引き着払いよりも手軽な決済手段になるだろう。
特にPCインターネットのEコマースの世界では、クレジットカードの利用を避けるユーザー層が一定率存在する。未成年者やフリーター層のように、そもそもクレジットカードを持ちにくいユーザーもいる。これらの層に対して、代引き着払いに代わる便利な決済手段を提供できるメリットは大きい。
Edyがリアル決済市場で成功し、対応店舗が増加していることも、今後のネット進出の追い風だ。全国規模で使える場所が増えることで、「チャージの動機付け」が順調に進んでいる。さらにEdyが持つ「異業種連携」や「ポイントサービス」の機能も、ネットビジネスと相性がいい。将来的には、リアルビジネスとネットビジネスの連携サービス登場にも期待できそうだ。
リアル決済市場での成功、そしてインテルが“お墨付き”を与えたことにより、PCやデジタル家電向けの決済手段としてEdyが注目株になったのは間違いない。今後、EdyのPC対応とネット利用が進めば、それに続き、他のおサイフケータイ向けサービスの「ネット進出・連携」もしやすくなるだろう。リアルとPCインターネットを繋ぐ架け橋としても、EdyのPC進出は注目である。
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