4月28日、NTTドコモがイシュアとして始めるクレジット決済サービス「DCMX mini / DCMX」がスタートした(4月4日の記事参照)。既報のとおり、DCMXはドコモと三井住友カードの提供するおサイフケータイ向けクレジット決済ブランド「iD」を使用しており、同方式の普及を強く後押しするものだ(4月5日の記事参照)。
今日の時事日想は特別編として、NTTドコモ プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部の夏野剛氏に行ったインタビューを掲載する。DCMXのビジネス的な意義と狙い、今後の展望などを聞いた。
「誰も信じてくれないんだけど、僕は本当にDCMXのためにJavaを(ドコモのiモードで)始めたんですよ。iモードを始めた時から(DCMXを)意識していたんです」
開口一番、夏野氏がそう語った。4月4日のDCMX発表記者会見の際に夏野氏は「これ(DCMX)がやりたくてドコモに入った」と強調したが(4月5日の記事参照)、それは単なるプレゼンテーションの演出ではなく本音であるという。
確かに筆者も、2001年に夏野氏のインタビューを行った時に、iモードが将来的に交通乗車券や電子決済分野に進出するというビジョンを聞いている。
「実はね、2001年1月にJR東日本がSuicaを始めて、(JR東日本幹部と)ぜひ将来的にモバイルに入れていきましょうという話になった。あの時にうちが始めたのがJava。503iの発売だったわけですよ(2001年1月18日の記事参照)。あの頃から(DCMXへの動きが)具体化し始めていた」(夏野氏)
Javaは503iで登場して以降、ゲーム分野での活用が盛んに行われ、ここでも一市場を築いた。Javaの進化はその後も留まることを知らず、FOMA 900iシリーズのJava仕様策定にあたり、夏野氏が「ドラクエ、FFを入れろ」とハッパをかけたというエピソードは有名だ(2004年2月20日の記事参照)。
当時、筆者があるビジネス誌で行ったインタビューでも、夏野氏は「ドラクエ、FFを引き合いに出したのは、ゲーム自体に市場性があるのはもちろんだけど、Java環境を底上げするのに最も分かりやすいものだったから。ドラクエ・FFが動く(ドコモのJava)プラットホームの可能性の方が重要」と話していた。
ドコモは、iモードのターニングポイントそれぞれに市場性の高く分かりやすいキラーサービスを置きながら、一方で電子決済市場の可能性を見据えていたと言える。
その後、登場したおサイフケータイは、携帯電話サービスの「リアル連携」を旗印に、より明確に電子決済市場の方向を向いていた。その後ドコモ自身も参加したクレジット決済ブランド「iD」を経て(2005年11月8日の記事参照)、ドコモ自身がイシュアとなる「DCMX」に繋がる(4月5日の記事参照)。
iモード以降のドコモの軌跡には、確かにDCMXへの布石が散りばめられている。
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