夏野氏が明かした「900iシリーズ」誕生秘話

» 2004年02月20日 01時14分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「F900i」に続き、「N900i」も今週日曜日に登場することが決まった(2月19日の記事参照)。ドコモのiモード事業部が勢力を結集して作り上げた900iシリーズ。19日の夏野剛企画部長の講演で、その開発背景の一端が明かされた。

9月から2月に発売が伸びたワケ

 「去年(2003年)の1月くらいに『3Gの電話機をiモードチームで作れ!』と言われて、決断を迫られたことがあった」と夏野氏は述懐する。

 「そのときは、機能が505iくらいだった。僕らから見ると、3Gでせっかく待ち受け時間も長くなるし、パワーアップしないと進化になってない。時期をずらして2月にしても、最高の、究極のiモードを作ろうとなった」

 もともと、“2003年セカンドモデル──秋FOMA”と呼ばれていたとおり、大きな改善点は待ち受け時間の伸び。最初に言及された際の説明は「秋にはPDCの機能をキャッチアップし、それ以降はFOMAのほうが高機能な端末になる」(津田志郎副社長、2002年12月の記事参照)だったように、まずは505i相当の機能を実現し、次のモデルで超える……というのが当初のシナリオだったようだ。名称も当初は「x2103Vとか2104Vとかだった」という。

900iのターゲットは「ドラクエ」

 発売時期を伸ばしても、究極を目指した900i。ポイントはどこだったのか。

 「iアプリをどこまでパワーアップさせるかはものすごい悩みだった。技術的に何Kバイトになりましたじゃなくて、ヒープ(メモリサイズ)のほうが制限になっていた。とにかくドラクエを動くようにしようよ、というのがターゲットだった」

 900iを最高の、そして最後のマルチメディア端末にしよう──。そんな思いが、夏野氏にはあったようだ。

 「ユーザーから見るとゲームがテクノロジーのベンチになる。ユーザーには分かりやすいね。503iがテーブルゲームだったとすれば504iはある程度行ったが、ポータブルゲーム機程度。今度はポータブルゲーム機の高級機のほうまで行きたいね。家庭用コンソールゲーム機の1世代目の力があれば、大作ゲームがドンと載るんじゃないか」

 900iの発表会では「ゲーム機のプレゼンをやっている気分だった」と夏野氏。900iは、並のポータブルゲーム機を凌駕する性能を手に入れた。

 しかし「900iはマルチメディア化の集大成」と言う理由は別にある。

900iで“行き着くところまで行った”携帯のマルチメディア化

 「900iを開発していて、携帯電話のマルチメディア化も行きつくところまできちゃったかなぁという感覚があった」と夏野氏は話す。

 その理由は、あまりにマルチメディア端末として高機能化した携帯電話が、“ニッチ向け”に成りかねないためだ。現在、iモードユーザーのうち、有料コンテンツにお金を払っている比率は52%。これを多いと見るか、少ないと見るか。

 「(iモードを)半分の方が使いこなせていない。ここから機能アップしても、うちの奥さんは使えないだろうなぁ。そこを考えなくてはいけない。(さらなる高機能化は)ニッチに向けてあってもいいが、これ以上のマルチメディア化はビッグウェーブ──主戦場じゃない、とこの2年くらい思っていた。これ以上行くと、対象マーケットが小さくなる可能性がある」

 “携帯5年周期説”を唱える夏野氏は、データ通信を中心とした携帯電話のマルチメディア化はもう行き着くところまで来たと見ている。買い切り制スタート後の携帯の爆発的普及、それが通信インフラとしての5年間だ。次の5年間はiモードを中心としたITインフラ……。

 iモード登場からちょうど5年、次の5年は何の年になるのか?

“携帯の財布化”が次の5年のターゲット

 「次の5年間で生活インフラとしての携帯電話を作りたい。大きなきっかけがFeliCaだ」

 iモードが作ったビッグウェーブは、7000万人近くが利用する巨大なITインフラに結実した。しかしまだ“全員が手放せない機器”にまではなっていない。

 生活インフラとしての携帯電話──そのために夏野氏が思い描くのが、携帯の財布化だ。

 「これからは現実世界で携帯を使っていく。携帯の財布化を大きな柱にしよう。これからの5年はリアルライフとの連動。それがFeliCaを中心に始まる。2009年にはほぼすべてのところで、携帯電話で金が払える。どこでも携帯を持っていれば財布はいらないという世界に持っていくのがターゲット」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  9. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  10. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年