6月、韓国で新しい通信規格による商用サービスが次々とスタートした。皮切りとなったのは5月中旬に発表されたSK TelecomのHSDPAサービスだが(6月22日の記事参照)、それから約1カ月半後の6月30日にKTFもHSDPAサービスを開始。同日にはSK TelecomとKTが同時にWiBroサービスをスタートした(5月24日の記事参照)。WiBroとHSDPAサービスの開始により、KT陣営とSK Telecom陣営に分かれた通信競争の火ぶたが切って落とされた。
6月29日に発表されたKTFのHSDPAサービスの名称は「ワールドフォン ビュー」という。商用サービス開始当初は、ソウルを始めとした全国50カ所の主要都市で提供され、25カ所のSK Telecom(以下、SKT)を2倍ほど上回っている。今年末までには対応都市をSKT同様、84カ所に広げる計画だ。
KTFは、以下の4つを柱としたサービスをHSDPAで提供する。
同社は昨年はNTTドコモと資本提携(2005年12月の記事参照)、そして今年はアジア地域のキャリア7社が国際ローミングなどに関して事業協力することを目的とした組織「Asia Pacific Mobile Alliance」に参加するなど(4月24日の記事参照)、積極的なグローバル展開を行っていた。その成果がここに来て発揮されている。
KTFでは年末までに、世界25カ国にHSDPAのローミングエリアを拡大する計画。HSDPAに対応していないGSM圏についても、GSMローミングを可能とすることで、最終的に世界90カ国でローミングを行えるようにする方針だ。
一方UICCは、加入者識別モジュールのほか、クレジットカードやモバイルバンキング、会員カードなどさまざまな機能を持たせることができるものだ。現在は外部の企業が開発したものを利用しているが、今年下半期頃にはKTFが自社開発したものを利用し、より多様な機能を提供していくという。
KTFでもSKT同様、HSDPAサービス活性化のための料金プランを用意している。9月末までには、ワールドフォン ビュー加入者全員に対し、加入後3カ月間、毎月300分、54万ウォン(約6万5500円)相当のテレビ電話利用料を無料にする。また11月末までは「W汎国民データ料金制」に加入したユーザーが、データ通信料金が1万4000ウォンを超えても、それ以上は利用料を課されないサービスも実施する。
ただ、ここで気になるのは、KTもSKTもサービス内容が似たり寄ったりであるという点。サービスの差別化を図らなければ、いずれ単純な価格競争に陥ってしまうだろう。そこで注目されるのがコンテンツとなるため、両社ともサービス開発やコンテンツプロバイダの囲い込みに必死だ。両社はポータルサイトなどを運営するコンテンツプロバイダをグループ会社の中に持ち、優れたコンテンツを保有する企業への投資や買収も積極的に進めている。
また、サービス開始に合わせて2種の対応端末も発表された。Samsungの「SPH-W2100」と、LG電子の「LG-KH1000」だ。
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