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» 2006年08月02日 11時31分 公開

法人市場で重要な「音声定額」「小規模契約」神尾寿の時事日想:

auがグループ通話定額を発表したのは、「通話料定額」で先行するウィルコム&ボーダフォンへの対抗策とも言える。「音声定額」と「小規模契約」は、法人市場、特に中小企業のシェアを増やすキーとなるためだ。

[神尾寿,ITmedia]

 7月26日、KDDIがau携帯電話の相互間通話を定額とする法人ユーザー向けサービス「ビジネス通話定額」を11月1日より開始すると発表した(7月26日の記事参照)。これは法人の同一名義で契約するau携帯電話をあらかじめグループ登録することで一定時間までグループ内の相互間通話料金を定額とするもの。また、このサービスは1グループ10回線という小規模から利用できるのもポイントだ。

 MNP(番号ポータビリティ)制度の実施時期から今後において、法人契約市場は重要なマーケットになる。そして、この市場は、あながち「ドコモだけが有利」という状況にない。ウィルコムの「音声定額」や、ボーダフォンの「ボーダフォン・モバイル・オフィス」が、“通話料定額”を武器に健闘している。ことサービスラインアップという点では、ドコモやauなど大規模キャリアは出遅れているのが実情だ。

中小企業向けで出遅れるドコモ

 法人市場の展開では大手企業の獲得やモバイルソリューションの展開に注目されがちであるが、契約規模の点で重要なのは、全国の中小企業の音声契約需要をどれだけ多く開拓できるか、だ。2台以上の小規模単位から導入可能で、音声定額でコストメリットがわかりやすいウィルコムやボーダフォンが、ドコモやauにとって無視できない勢力になっているのはそこに理由がある。

 今回、発表されたau携帯グループ定額サービスは、法人市場のトレンドをきちんとキャッチアップしたものといえる。ウィルコムやボーダフォンのサービスと比べると基本料は高いが、エリアやサービス品質、サポート体制の充実をあわせれば、競争力は十分にある。フットワークよく中小企業を獲得してきたウィルコムやボーダフォンにとって、強力なライバルになるだろう。

 一方、この法人向け「音声定額」「中小企業向け」のトレンドに乗り遅れているのがNTTドコモだ。同社は音声定額の料金プランを持たず、法人向けサービスや料金プランのラインアップは契約規模の大きい大企業向けの方が充実している。今回、auも法人向け音声定額に乗り出したことで、中小企業向けサービスでは他社に見劣りしてしまうだろう。ドコモのブランド力は確かに強いが、法人市場ではそれ以上に“実利”が求められる。MNPで番号移行が容易になれば、その傾向は顕著に表れるだろう。今後、契約数の拡大が期待できる中小企業向けのサービスが弱いのは無視できない要素であり、ドコモはもっと危機感を持った方がいい。ドコモがいつ対策に乗り出すか、注目されるところだ。

 MNPはコンシューマー市場の動向ばかりが注目されているが、「電話番号が変わらずキャリアが変えられる」メリットはむしろビジネスユーザーの方が大きい。法人市場の拡大と各キャリアの競争に、引き続き注目が必要だろう。

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