2007年にはユーザー数を100万人以上に――トヨタファイナンス、QUICPayを本格展開

» 2006年09月12日 17時23分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 トヨタファイナンスは9月12日、FeliCaを利用したクレジット決済サービス「QUICPay」を今秋から本格展開すると発表した。

 同社が発行するクレジットカードをQUICPay内蔵の一体型に切り替えるほか、QUICPayとiDの両方を利用できる共用決済端末を開発、加盟店に設置していく。

左からVISA、MaseterCard、JCBブランドのTS3 CARD。全てQUICPayを内蔵している

TS3ユーザー560万人を全てQUICPayユーザーに

TS3用QUICPayアプリ。auの秋モデル以降の端末ではQUICPayがプリインストールされるが、TS3では「お試しQUICPay」機能は利用できない

 トヨタファイナンスでは4月から、同社が発行するクレジットカード「TS3 CARD (ティーエスキュービック)」ユーザーに向けてQUICPayを提供している。現在はTS3ユーザーのうち希望者にオプションとしてQUICPayを提供する形だが、10月3日以降はTS3カードにQUICPayを標準搭載する。VISA、MaseterCard、JCBの全ブランドでQUICPay機能を内蔵した一体型のカードを発行する。

 秋以降発行するTS3は全てQUICPay一体型になるほか、現在560万人を擁する既存会員のカードについても、更新時に全てQUICPay一体型に切り替えていく。「(一体型カードの発行によって)QUICPayユーザーは1年で100万人を超える。5年経って全会員が切り替われば少なくとも560万人がQUICPayユーザーになる」(トヨタファイナンス常務取締役カード本部長の塘信昌氏)

 おサイフケータイ用アプリとして提供しているモバイル型QUICPayについても、12月を目処に即時申し込みサービスを開始する。現在、TS3でQUICPay用アプリを利用するには、申し込みから3日程度かかるが(郵送でIDとパスワードを受け取らなくてはならないため)、12月以降はTS3のユーザーであれば、申し込み手続きの直後にモバイル型QUICPayを利用できるようになる。

QUICPayとiDの共用端末を設置

トヨタファイナンス常務取締役カード本部長の塘信昌氏

 加盟店開拓にも本格的に注力する。年内を目処にQUICPayとiDの両方に対応する共用のリーダー/ライターを設置していく。共用リーダー/ライターは、QUICPayとiDの2つの決済スキームへの対応を基本とし、Edyなど他の決済方式についても、加盟店の希望に応じてモジュールで機能追加できるものになるという。

 コンビニエンスストア、タクシー、ファーストフードショップなど、従来クレジットカードの利用が少なかった業種で小額決済を普及させる狙い。ロイヤルホスト、サンデーズサン、コジマデンキ、首都高のパーキングエリアなどすでに発表されている店舗のほか、名古屋エリアの加盟店開拓に特に力を入れていく。「2007年には名古屋の駅前にミッドランドがオープンし、トヨタの本社機能が移転する。そこで働くトヨタの社員は当然QUICPayユーザーなので、ミッドランドやその周辺の地下街は全てQUICPayが使えるエリアになるよう、現在交渉を進めている。名古屋駅前から始め、栄、伏見へQUICPayが使えるエリアを広げていく。利用できるエリアを広域で作ることが、一番の宣伝効果になる」(トヨタファイナンス)

iDの提供も検討中

 トヨタファイナンスでは、iDの提供も検討中だという。TS3カードへQUICPayを標準搭載するという基本方針は変えないが、希望者には子カードまたは携帯用アプリとしてiDをオプション提供する考えだ。「TS3ユーザーの中にはもちろん、iDを使いたいという声もあるだろうと思うので。QUICPayの導入が一段落した、そのあとの話として検討している」(塘氏)

 現状、FeliCa決済で最も普及しているのはポストペイ型電子マネーの「Edy」であり、ユーザー数でも加盟店数でも、他陣営を大きくリードしている。

決済方式 QUICPay iD スマートプラス Edy Suica
前払い/後払い ポストペイ ポストペイ ポストペイ プリペイド プリペイド
会員数(人) 7万 約36万 約4万 約1920万 約1291万
利用可能店舗数 1万 約4万 約3000 約3万5000 約6700
トヨタファイナンス提供の比較表より抜粋。QUICPayの発行数・利用可能店舗数は7月末の数字。QUICPay以外の発行数・利用可能店舗数については6月末の数字で、「月刊消費者信用9月号」より引用している

 トヨタファイナンスが目指しているのは「少額から高額までキャッシュレスで暮らせる社会」だ。「小額決済市場でクレジットをしても儲からない」と認めつつ、60兆円ともいわれる小額決済市場で、キャッシュレス決済の割合を少しでも高くしたい、と話す。

「日本人は、少額の支払いのときに待つとか、後ろに行列ができているのに人を待たせてカードを切るというのは嫌だという気持ちが強いが、QUICPayを入れれば1秒で決済ができる。お客様の利便性を高めながら、当社としてもカード事業を伸ばしていきたい」(トヨタファイナンス執行役員総合企画部長の後藤清文氏)

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