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» 2006年10月20日 13時42分 公開

“携帯でGoogle”に向けた課題──米Googleユースタス上級副社長Symbian Smartphone Show 2006

携帯Webがオープン化に向かう中で注目を集めているのが検索サイト。米Googleのアラン・ユースタス上級副社長がSymbianの年次イベント「Symbian Smartphone Show 2006」で、モバイル参入に向けた課題と取り組みについて説明した。

[末岡洋子,ITmedia]
Photo 米GoogleのAlan Eustace上級副社長

 英ロンドンで開催されたSymbianの年次イベント「Symbian Smartphone Show 2006」に、米Googleのエンジニアリング・リサーチ担当のアラン・ユースタス上級副社長が登場し、モバイル分野におけるGoogleの取り組みについて説明した。Googleは「世界中の情報を組織化し、誰でもアクセスできるようにする」というミッションを掲げており、モバイル分野でもその実現を目指している。

 ユースタス氏はまず、技術業界全体に起こっている変化として次の3点を挙げた。

  1. 処理能力・ストレージ容量のコスト削減
  2. 配信、広告主、買い手、売り手が効率よく、グローバルに商業活動を行えるようになった
  3. だれもが情報を発信し、アクセスできるようになった

 検索広告により、「数年前なら世界的なキャンペーンを打つのに2年かかったが、現在では15分。クレジットカードさえあれば誰もがキャンペーンを打つことができる」とユースタス氏。しかも、潜在消費者を狙った検索広告では広告のクオリティも高くなり、検索技術の進化によって買い手も売り手もこれまでよりも良い決断ができるようになったと説明する。

 Googleのミッションは、前述の通り「世界中の情報を組織化し、誰でもアクセスできるようにするとともに、それを意味のあるものにする」ことだ。ここでいう「情報」は、Web、ビデオ、地図などの地理情報、学術図書など、文字通りあらゆる情報を指す。

 Googleがモバイル分野の課題として挙げるのは「Webでだれもがアクセスできる情報を、どのようにモバイルコンテンツでも利用できるものにするか」だ。「4年前にはこれがどれだけ難しいか、Google自身も気が付かなかった」とユースタス氏は振り返る。携帯電話で地図情報を見る、写真を共有する、検索した情報を利用するといった、PCのインターネットでなじみのあるユーザー体験を、いかに意味のある形でユーザーに提供するかが、モバイル分野でGoogleが注力している点だという。

モバイルとロングテール現象

 これまで携帯電話による検索は決して容易なものではなかった。メニューから入り、検索機能にたどり着くまで何度もクリックを重ねる。ようやくアクセス画面にたどり着いてURLを入力すると、運良くブラウザが動けばGoogleのホームページが表示され、やっと検索を行えるといった具合だ。ユースタス氏は「こうした事情から3年前には携帯電話における検索機能はあまり利用されていなかったが、(端末が高機能化した)今では、ユーザーは機能へのアクセスさえ容易なら検索したいと思っている」と話す。

 さらには、「Google自身も驚いた」こととして、モバイルの検索クエリーとPCの検索クエリーで、共通したロングテール現象が見られる点を挙げた。

Photo モバイルにおけるロングテール現象

 「携帯電話で求められる情報は限られたものだと考えるのは誤りだ。ユーザーは携帯電話からでも、あらゆる情報にアクセスしたいと思っている」(ユースタス氏)。また携帯電話では、複数のキーワードを入力するユーザーが多いことも分かったという。「携帯電話で検索するということは、“いま、その情報が必要”ということだ」とユースタス氏は続ける。

 同氏はまた、個人に最適化されたデバイスという携帯電話の特性から、将来的には検索結果のパーソナライズが進むと見ている。例えば「BASS」と入力した場合、ユーザーに応じて、魚の「バス」か音楽の「バス/ベース」かを見分ける──といったことがモバイルでは実現しやすいという。

Googleでも難しい──モバイル独特の市場サイクルへの参入

 Webでは王者の座に就いているGoogleにとっても、市場の成長サイクルを形成するシステムへの参入は容易ではないようだ。「ニーズがあり、(それに応じる)製品もあるのに、いまだに入り込めない」(ユースタス氏)。その理由は、端末やプラットフォームがさまざまで、ユーザーが価格体系を把握しにくいために利用が少ないこと、Googleのようなアプリケーションプロバイダがユーザーの端末を識別することが難しいなどさまざまだ。

 こうした問題の解決にあたって、Googleが推進しているのが端末メーカー、ソフトウェアベンダー、オペレーターなどとの提携だ(記事1記事2参照)。既に市場に深くコミットしている企業と協業することでギャップを埋め、サービスの統合を実現するという。

 ユースタス氏はまた、携帯電話の小さな画面向けにどのように情報を配信するべきかについても触れた。Googleは、Google News、Gmail、Personalized Homeを携帯電話向けのネイティブアプリケーションとして移植している。Webと同じようなインタフェースを提供することで、ユーザーにアピールできると考えており、先日もPalm向けにGoogle Mapsの提供を開始している。

Photo モバイル向けに移植されたGoogleのサービス

 Googleが注力しているもう1つの取り組みがモバイル広告だ(4月7日の記事参照)。知っての通り、Googleの強みは大規模な広告ネットワークを構築していること。この広告ネットワークは、モバイル業界の新しい収益源となる。Googleでは、Web上で展開する既存の広告サービスとは別に、電話という特性を活かし、ユーザーが広告主に直接電話できるClick to Callサービスを携帯電話向けに提供している。

 業界全体に向けた取り組みとして挙げられたのは、標準化の促進。World Wide Web Consortium(W3C)のMobile Web Initiative、.mobiなど、標準化団体による標準化の取り組みを支援するとし(6月28日の記事参照)、中でもサイト内のコンテンツ情報のためのMobile Site Mapsにより、検索精度が改善するという見方を示した。

 Googleは現在、英国のリサーチセンターを中心に、モバイル分野への取り組みを強化している。英国をモバイル活動の中心としたのは、この分野において欧州がリードしていることと技術者・開発者の存在が大きいという。今後、モバイル分野における検索を軸としたコンテンツ開発と、広告の2つを中心にモバイル市場にコミットするとしている。

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